スッポンを捌いて調理した話
いつもどおりのある日の事
俺が突然立ち上がり言った
今夜、亀捌きに行こう🐢🐢🐢
たまには良いこと言うんです?
(あれは蟹の話でした)
という事で、スッポン(♂)を買いました。
1kg¥5,400。少しオマケしてくれて¥5,200でした。
国産養殖物のスッポン相場としては妥当な価格だと思われます。
店の女将さん曰く
「今朝長崎から届いたばっかりだから新鮮だよー!」
との事。
長崎はスッポンの養殖が盛んなのだと、また一つ賢くなりました。
ちなみに買った店は、アメ横センタービル地下の水産食材の老舗「野田幸」
上野アメ横 【野田幸】・・・極上本マグロ、ふぐ、スッポン、上海蟹、各種活魚・鮮魚・貝類の卸・小売販売
鮪や車海老等、高級食材を始めとして、スッポン、食用ガエル、鮒、鯉、ティラピアなど、幅広く水産系の食材を取り扱っている名店です。
事の発端は、今年の4月、茶活部(茶色いものを食べながら旨い!茶色い!尊い!と言い放ち酒を飲むだけの非生産的な集まり)のミーティングで立石〜浅草〜上野で1日5軒ハシゴ酒すると言う肝臓を痛めつける企画を催した際、中休みでセンタービルに入った時のこと。
見つけてしまったわけですよ。生きた状態で売られているスッポンを🐢🐢🐢🐢
(੭ु ˃̶͈̀ ω ˂̶͈́)੭ु⁾⁾.o0(やだやだ!スッポン売ってる!)
それからと言うもの、捌いて食べてみたい思いが日を増すごとに強くなって行き、ついに賛同者を募って、割り勘で購入するに至った次第です。
4人で割れば1人¥1,300!安い!
そして今はインターネッツが発達した世の中なので、ちょっと検索すればスッポンの捌き方を解説してくれているブログや動画などが出て来るので、情報を得るには苦労しませんでした。
捌き方については何通りかあって、捌く前に薄皮を剥く方法や、捌き終えてから薄皮を剥く方法など、若干の違いはあります。
今回の解体と調理については、大筋で小林銅蟲先生の『めしにしましょう』1巻のスッポン回をお手本にさせて頂いています。
より詳しい捌き方については各サイト、動画等を参考にして頂けたらと思います。
此処では、初めて捌いた私の視点から、初めてやる人が躓きそうな所にフォーカスを当てながら流れを記述して行こうと思います。
という事で此処から後の今日の記事は、かなり強めの解体画像も出て参りますので、見たくない方はこのままそっとブラウザを閉じる事をお勧め致します。
それではやって行きましょう🐢🐢🐢
まずはスッポンをひっくり返し、首を伸ばした所で、右利きの人は左手で首根っこを捕まえ、出刃庖丁で切り落とします。
はい。此処で先ず躓きました。
首は伸ばしてくれるのですが、思っていた以上に首の可動範囲が広く、動きが速いので、噛まれずに首根っこを掴むのに度胸と慣れが要ります。
そして首根っこを捕まえた後、全力でスッポンが首を引っ込めようとするので、力を入れて握り、引っ張り出す必要があります。
結局、今回は同席者の手を借りて、スッポンにタオルを噛ませて首を出させつつ、押さえつけて貰い、その間に私が首を切り落とし、なんとか第1関門を突破しました。
首を切り落とす際の注意点ですが、骨の部分がとても硬いので、普通の家庭用三徳包丁では恐らく斬り落とせません。すんごく良く斬れる出刃庖丁を使って全力で斬り落としましょう。
此処で躊躇って中途半端に首が切れると余計にスッポンが可哀想なので、迷わずにやった方が良いと思います。
今回の為に私が用意した庖丁は、藤次郎のコバルト合金鋼の出刃15㎝
藤次郎 プロ DPコバルト合金鋼2層複合 出刃 150mm F-635
- 出版社/メーカー: 藤寅工業
- メディア: ホーム&キッチン
- 購入: 1人 クリック: 1回
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いわゆるステンレス製ではありますが、スッポンの首ぐらいならば躊躇せずに落とせるだけの重量感と斬れ味がありました。買っておいて良かったです。
さて、首を斬り落とした後は、首を下にして、日本酒を入れたグラスに血を注ぎ落として凝固するのを防ぎます。
スッポンの生き血の味ですが、日本酒の分量が多かった為に、あまり臭みも味も感じなかったと言うのが正直な所です。
血がまとまった量取れるならば、沖縄料理にある血の炒め物みたいな感じで利用してみたかったですね。
今回の1Kgジャストのサイズだと炒め物する程には取れませんでした。
さてガンガン行きましょう。
その後、本来の手順では、顎下の関節に沿って喉の辺りに二箇所切り込みを入れて、頭部と首を分離させます。
が、首を斬り落とす際の首の伸ばし加減が不十分であった為、分離させるほど首の部分が無かったです。
なので、頭部はほぼこのまま使用しました。
次に80℃程度のお湯に全身+頭部を一瞬浸して、薄皮を剥きます。この薄皮が亀の生臭さの原因なので、丁寧に全て取り除きましょう。
お湯につけると素手で容易に剥がせるようになりますので、温かいうちに全て剥いて取り除きます。
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そして、いよいよ本体の解体に入ります。
スッポンの甲羅は中心こそ硬いものの、その周りは柔らかく、庖丁で切り取る事が可能です。
この間、切断した頭部も胴体もガンガン動いて迫力がありますが、気にせずやって行くしかないです。
甲羅の中心の硬い箇所をぐるっと囲むように、えんぺら部分との境目に刃を入れて、出刃庖丁をぐるっと一周させます。
おりゃー
おりゃりゃりゃー
うおおおーーーーー
なんて、写真で見ると順調そうに見えますが、実際には綺麗に分離させるのにかなり四苦八苦しています。
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甲羅と内臓の間に膜が張っているのでこれを庖丁で削ぎ落として行く必要があり、此処も慣れが必要だと感じました。
ようやく甲羅の切り離しに成功
その後、腹側の両サイドと尻の所に切れ目を入れます。
此処からは内臓をひたすら引っ張り出して行く作業。
内臓は胆嚢(苦い)と膀胱(臭い)以外は全て食べられるので綺麗に取り出します。
胆嚢は肝臓にくっついているので容易に見つけられるのですが、いかんせん膀胱が見つけにくいです。
潰したら臭い尿が飛び散ると聞いていたので、物凄く慎重に捌いていたのに、一向に見つかりません。
見つからない場合は、「排泄肛から遡って探すと良い」と、書かれているブログもありましたが、遡って見ても一向に見つからない。
結局、それらしき箇所を見つけることが出来なかったので、膀胱については
・既に他の臓器に紛れて一緒に取り出した
・尿を出し切った後だったので萎んでいて見つけられなかった
の、どちらかだと仮定して先に進める事にしました。
(※結果として、食べる段階でも臭いは全く無かったので結果オーライとします)
内臓を出し切った後、ひっくり返して腹部を上にし、先に切れ目を入れておいた両サイドの所から体を上下に切り分けます。
手足の爪については、庖丁の根元部分で叩き斬って捨てます。
その後、足と腹部の肉を関節部分で切り分けながら切り出すのですが、これについても、スッポン捌き初心者には難易度が高かったです。
関節部分がとても分かり辛く、それ以外の部分で骨を叩き斬ろうとしても、15㎝の出刃では厳しいと感じました。
とは言え、たまに関節部分に巡り会えると非常にスムーズに切り分ける事が出来ました。
これも慣れの問題だと思われます。
あと、肉は加熱するととても身離れが良くなるので、骨から無理して切り出そうとしなくても良いです。手羽元や手羽中を食べているぐらいの感覚で食べられます。
という事で、口に入れられるサイズにカットしたら、全て鍋に入れて、一度茹でこぼします。
ちなみに、甲羅部分の外側のえんぺらについても、加熱すると柔らかくなるので食べることが出来ます。
甲羅については、出汁要員として一緒に茹でこぼします。
1回目の茹でこぼしでは、前にやったイルカばりに血とアクが出ました🐬
なかなかの量です。
この段階までは全く旨そうに見えないですが、後々大化けするので心配は無用です。
沸騰したらザルにあけて、再度水から煮直します。
その際に薄切りにした生姜、出汁用の昆布、切り落としたネギの頭、日本酒を少々加えました。
沸騰する直前に昆布を出し、アクを掬いながら煮ること約1時間⏰
同時進行で、ネギを焦げ目が付く程度に焼いておき、豆腐も食べやすいサイズに切っておきます。
最後の段階で、甲羅、ネギの青い部分を取り出し、具材のネギ、豆腐を入れて、温まった所で醤油を適量加えて味を整えて完成です。
あれだけ、決してインスタ映えしないような力強い絵面を創出していた具材が、鍋としての様相を示し始めました。
死体と食材の境目は何処にあるのか。
毎度生き物を捌く時に考えますが、得てして曖昧なものなのだと思います。
とは言え、肝心なのは味ですよね。ねねねね。
レバーを乗せて、やっていきましょう。
・・・
・・・
う、旨え...
なんだ?なんなんだ??このコク。滋味深さ。魚でもなく、獣でもない、決してしつこい訳ではないが、他に類を見ない、奥行きのある味わい。
脂っこい肉類を食べた時のような、ガツン!と来る旨さではなく、じんわりと味蕾に染み込んで来る旨さです。
凄いぜ...高級食材としての威厳と風格...
ちなみにスッポンのスッポン自身♂については同席者が美味しく頂いておりました。
と言う事で具をある程度食べきったら、お約束のあれをやりましょう。やらないと画竜点睛を欠きます。
そうです。雑炊です。
・・・
・・・
旨え...
旨過ぎる...
雑炊にすると、なおのこと出汁の旨さが際立ちます。
「鍋のあとはやっぱり雑炊だよねっ♪」
などと友達の家で宅飲みする時のような気軽さで口にしてはいけない圧倒的旨味がありました。
(友達の家の宅飲みで捌いて口にしています)
なんだ。なんなんだ。スッポン雑炊。掛け値無しに、今まで食べた〆の雑炊の中で1番旨い。
最後の最後にとんでもないもの遺してくれやがった....スッポン....君のことは忘れない....
命の尊さに圧倒的な感謝👏👏
雑炊までやって完成を迎えると言う食材である事が良く分かりました。
内臓も含めて臭みは全くなく、純粋に旨味だけが口の中に広がります。
これは確実にまた食べたくなる食材です。
あと5〜10回も捌けばきっとスムーズに捌けるようになるでしょう。
¥5,400×10=¥54,000 か...
とは言え、野田幸で買えば、その場で鍋用に切り分けて貰えるんですけどね。せっかくなら捌くのも自分でやった方がお得感ありますからね。
手に捌く感覚が残っているこの冬のシーズンのうちにあと1〜2回は捌いておきたいです。
と言う事で、割り勘して頂ける方、募集です。スッポン食べたい方、この冬はスッポンでライバルたちに差をつけましょう\\(۶•̀ᴗ•́)۶////🐢🐢🐢