山と酒と音と飯

登った山と飲んだお酒と聴いた音楽と食べたメシについての備忘録

菰釣山で水炊き展

こんにちは。やってますか?そうですか。私です。

 

前回、海でウツボに翻弄されたので、今度は人里離れた高い所に行きたい!

 

そうだ!山だ!山があった!⛰⛰⛰⛰

 

積雪期直前の此処がラストチャンスなのだ!

 

せっかくだから人里離れた山奥で鍋でもつつきながら熱燗で一杯やるのだ!🍶

 

と言う欲求には抗えず、積雪期直前の西丹沢を1泊2日で縦走して参りました。

 

今回のルートは菰釣山をメインに

西丹沢ビジターセンター→畦ヶ丸→大界木山→菰釣避難小屋(宿泊)→菰釣山→石保土山→富士岬平→石割の湯

の、全長約20km、高低差約850mのコースで御座います。一回の山登りで4つも登れるなんてお得感ありますね。

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はい、菰釣山です。もうね、超無名です。山好きな人でないとおそらく知らない山です。

丹沢と言うと一般的には大山ですとか、塔ノ岳、鍋割山辺りが有名ですけれども、あれって、本当に丹沢の一部分なのですよ。

丹沢は、標高こそ高くないですが、山域としては結構な広さがあるのです。

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青い線で囲った所がだいたい丹沢の山域です。広いですね。

その中の西の端、山梨県との県境にある山が菰釣山です。 

この山、何故に人気がないのかと言うと、1番の理由はおそらく、絶望的にアクセスが悪いからなのです。

3つほど登山道入口があるのですが、そのいずれも公共の交通機関ではアプローチがしづらい。

道の駅どうし から入る方法が山頂には1番近いのですが、バスが1日に2本、しかも山梨県側の富士山駅からしか出ていない。

 

山中湖平野から入るルートは、新宿から高速バスで平野まで行くか、富士山駅から1時間かけて路線バスで平野まで行きます。

 

東京・神奈川方面からアプローチするならば、西丹沢ビジターセンターが1番アクセスしやすいです。新松田駅からバスで1時間くらいで辿り着きます。

あるいは、新宿から高速バスで平野まで行って、今回のルートの真逆を辿るかですね。

 

今回行った西丹沢ビジターセンターからのルートは1日目の行程が長く、頂上までの平均コースタイムが片道約7時間。日帰りがしづらい山なのです。

と言うわけで、とても人気がなく、当然、有人の山小屋もありません。

 

では何故そんな所を登ろうと思ったのかと。

 

それはですね、頂上付近に避難小屋があるのを知ったからなのですよ。

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避難小屋まで平均コースタイムで約6時間半。なんて丁度良い場所にあるのかと。これを利用しない手はありません。

 

丹沢は基本的に山中全域でテント泊禁止なので、縦走する時は有人の山小屋に泊まるか、避難小屋に泊まるかしかないのです。

 

そもそも避難小屋って何よ?と言う方がいらっしゃるかもしれないので、少し解説致しましょう。

 

読んで字のごとく、緊急時に誰でも泊まることの出来る小屋の事です。緊急時用なので、小屋によって多少造りにバラつきはありますが、基本的には、簡素な造りになっています。

小屋によってはトイレが併設されていたり、中にストーブがあったりします。

 

緊急時用なのに使って良いの?と言う問いに関しては諸説ありますが、本当に緊急を要する人(怪我、病気、遭難etc)が利用する時に、まともに動ける人が同時にいないと助けを呼びに行く事も出来ないので、小屋を汚さず綺麗に使う事を前提に、普通の人も使って良いと言うのが山での一般的な認識となっております。

ただ、山域によっては「緊急時以外に使用しないこと」と明記されている場合もあるので下調べをしてから活用致しましょう。

 

さて、この菰釣避難小屋、山岳地図で見ると割と近くに水場もあるようなので言う事なしです。

 

せっかく冬だし、鍋食べながら熱燗でもやりたいね!ソウダネ!イイネ!と、酒と飯ありきで話はトントン拍子で決まり、鼻息荒く臨んだ次第なのです。

 

(※酒や飯の為に荷物を積み増す時は、己のレベル感と行程の長短を照らし合わせた上でやりましょう。)

 

という事で迎えた当日。新松田からバスに乗り、8時40分頃に西丹沢ビジターセンターに到着。

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中にはトイレと、水と軽食を販売している売店があります。菰釣山以外にも、大室山や檜洞丸に登る際の起点にもなります。

 

今回の荷物重量はサブバッグを除いて16.95kg。テントを積んでいない分、いつもより少し軽めです。その分、食糧と酒が積み込まれてはいますが。

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準備を整え、9時ちょうどに西丹沢ビジターセンターを出発。

 しばらくは沢沿いの道を進みます。コースが若干読みづらい所もあるので、注意深く回りを見渡して、道標や木に括られているテープを確認しつつ登りましょう。

沢沿いのコースは、変化に富んでいて楽しいです。

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途中、橋と言うにはあまりにも簡素な丸太的なものを渡ります。増水時にこのルートは使えませんね。

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丸太橋をズンズン渡ります。

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沢沿いを登った後は尾根に出る為に、一気に斜度が増します。頂上までは割とキツい登りが続くので、バテないようにペースを維持しながら登ります。

 

12時28分。1つ目のピーク、畦ヶ丸(1,292m)に到着。

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こちらも頂上付近に避難小屋があり、中にはストーブも有るので、緊急時には活用致しましょう。

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小さめながら、堅牢な造りです。

 

とは言え、此処からさらに3時間半ぐらい歩かないとならないので、小休止の後、即出発。

此処まで他の登山客は僅か数名。静かで良い山です。

 

13時48分。2つ目のピーク、大界木山山頂に到着。

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引き続き菰釣避難小屋まで、静謐なブナ林の中を細かいアップダウンを繰り返しつつ歩き続けます。
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途中、小休止を挟みながら歩き続け、平均コースタイムより1時間程遅い、15時50分に菰釣避難小屋に到着。思ったよりも時間がかかりました。

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中の様子です。床の間は詰めれば10人弱ぐらいは寝れそうな感じです。

実際この日は、我々以外に2グループ来ていたので合計で8名で利用しました。

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早々に寝床を準備したら、日没前までに水を汲みに行かねばなりません。

 

小屋から下り15分、登り25分で往復出来るとの事。道志側のルートに急ぎ足で下ります。

水場のポイントなのですが、現場に明確な表示が無いので、探すのに少し手間取りました。

イメージとしては、小屋から降りて15分ぐらいで沢と合流するので、其処でルート通りに右に下りずに、左に曲がって沢を少し登り、沢の流水を直に汲み取ります。

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無事に水場を発見出来たので、水を汲みます。

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沢の水なので念の為、煮沸してから飲用にします。

 

調理用と明日の行動用を兼ねているのでガッツリ汲みます。アマゾンで事前に購入した10ℓ用の折り畳み式ポリタンクを使用しました。

 

 今回、試しに買ったのは↑こちらの商品なのですが、キャップと蛇口の締まりが緩いので、フルに入れると結構な量が漏れました。

この辺りは、数打って当たりを探すしか無いですね。

 

5〜6ℓぐらいを汲む分には問題なく使えました。軽いし、安かったのでその辺は良しとしましょう。

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そして意気揚々と帰ろうとしたのですが、数リットルの水を持って沢沿いを登り直すのがキツかったです。心折れそうになりました。

思えば此処に至るまでに7時間も歩いているのだから当然ですよね...

 

同行者にも持って貰い、なんとか小屋に再到着。1時間かかりました。

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日没ぎりぎりです。このコースをやってみたいと言う酔狂な方がいらっしゃれば、参考にして頂けたらと思い候。

 

さて、此処まで長い道のりでしたが、漸く酒宴の準備です。今回の山行の目的は、8〜9割がこの酒宴なので気合が超入ります。

どれぐらい入ってるかと言うと、鶏モモ肉1kg、白菜半玉、日本酒500㎖をわざわざ担ぎ上げる程度には入っています。

 

今回の水炊きは、またしても小林銅蟲先生の『めしにしましょう』2巻の「大水炊き展」を参考にしております。 

詳細なレシピについては其方をご参考下さい。

 

 白菜半玉DAWN. 

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鶏肉1kg DONE.

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Oi白菜。

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完成された1枚の絵画のよう。

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同席された別グループの方からわさびぽん酢を分けて頂き、思い思いの調味料を入れて食します。

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あ゛ー旨い。加えて、避難小屋内が超寒いので温かいものが沁みます。

何故に白菜と鶏モモ肉と塩だけでこんなにも甘く濃厚な出汁が出るのか。

最早、ヴォイニッチ手稿と同じレベルで解読出来ない代物だと言う確信を深めました。

 

他、同行者作によるツマミの数々。

サバ缶のなめろう

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酒盗チーズ

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春菊のサラダ

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炙り栃尾揚げBEFORE

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炙り栃尾揚げAFTER

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持ち込んだビールと日本酒が尊過ぎる事案に発展

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今回持ち込んだ丹澤山 麗峰は山田錦で仕込んで1年以上熟成させただけあって、辛味と旨味が両方ともガツンと来るのですが、熱燗にした途端に大化けします。

 

角が取れて酸味と旨味が一気に花開く、超燗酒専用酒🍶

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抜かりなくアルミタンポを持ち込んで熱燗を嗜む世界線へ到達。

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このアルミタンポがあれば日本全国津々浦々、何処にいても熱燗が作れるので貴重です。もはや一家に一台、アルミタンポ。混迷を極める現代社会において羅針盤となり得る逸品でしょう。

 

アルミ 籐巻き酒タンポ 1号 ESK481

アルミ 籐巻き酒タンポ 1号 ESK481

 

 

 

テーブルの様子です。3グループ計8名で思い思いにメシを作って山話に興じます。

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とは言え、山の夜は早いので20時過ぎには就寝。

翌朝、4時起床。気温は3℃。氷点下はギリ免れたけれどまあまあ寒いです。

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朝メシは、昨夜の水炊き展の残り汁にレトルトご飯と卵を投げ入れて雑炊に。

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残りの酒盗やら七味やら何やら入れて食します。あー旨い旨い旨い旨い旨い。

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 夜明けと共に出発。道中うっすら雪化粧していました。そりゃぁ寒い訳です。

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20分ほど登って菰釣山山頂に到着。

今回の菰釣山、全く眺望に期待していなかったのですが、滅茶苦茶良いじゃないですか。数ある丹沢の中でも指折りの眺望でした。

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小慣れた山男感を醸し出す山初心者のたらこ氏。

 

この後は4時間ほど歩き続け、山中湖沿いのバス停を目指します。

 

そして唐突にHIT THAT(人里)

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これまた抜かりなく日帰り温泉がある事を掴んでいた我々は、「下山後温泉後即麦酒」と言う、孔子もびっくりの漢文調でズブズブと飲み散らかして帰路に着きました。

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西丹沢ビジターセンター〜菰釣山〜山中湖平野バス停 縦走路

技術:★★★☆☆☆☆☆☆☆

体力:★★★★☆☆☆☆☆☆

(※高尾山を技術:★ 体力:★ として比較)

 

この時期の丹沢はギリ無雪期なので、登り易いですし、人気も少ないのでとても良いですね。

とは言え、夜は寒いですし、行動中は暑いのである程度の装備と経験がないと事故に繋がります。

入念な準備の上でお楽しみ下さい。

 

今後も我々は、諦めずに過剰に山メシの可能性をやって行こうと思います。