1年越しでフェモラータオオモモブトハムシを採りに行った話
昨年の3月頃からネット上の採集系のブログで複数取り上げられ、話題になっていた虫がいます。
そうです。
フェモラータオオモモブトハムシ(幼虫)です。
なんらかの理由で人の手から離れ、三重県で異常繁殖している外来生物。
彗星の如く現れた「杏仁豆腐の味」がするそれは、瞬く間にネット上の野食家達の視線を釘付けにし、話題をさらって行きました。
しかし、生息地が三重県と言う地理的な遠さと、2〜4月頃が捕獲最盛期と言う時期的な制約から、昨年は惜しくも機会を逃した次第。
虎視眈眈と捕獲の機会を伺っている最中、今年3月ついにその機会が巡って来た訳であります。
と言う事で今回の記事、既に数多の先人達が捕獲されているフェモラータオオモモブトハムシについて書き記しますゆえ、十番煎じぐらいの内容です。フェモりたい方はどうぞご覧になって下さいまし。
はじまりはじまり🐛🐛🐛🐛
時は3月23日(土)0:30
横浜から夜行バスで三重県の松阪駅行きの便がある事を嗅ぎつけた私はバスに飛び乗り、三重県松阪市を目指しました。
バスに揺られる事7時間。
07:30に松阪駅前に着弾🚀💥
此処から同行者の米久氏と合流し、松阪市内の河川を探索します。
先ずは先人達に倣い、川沿いに生えていると言う葛を探します。
次に、群生地を見つけたら葛の幹の瘤を探します。
こんな感じの瘤を金切鋏で慎重に切り開いて行くと...
イターーーーーー(°∀°)ーーーーーー!
瘤の中に、アーモンドの様なサイズ感の繭を作って潜んでいます。繭を割る時に潰さないように要注意。
思っていた以上にサイズは小さめ。フェモい。実にフェモフェモしい。
コロニーに当たれば採集は用意であるものの、葛の群生地ではあっても、丁度良い瘤のある木と言うのがなかなか見つかりません。
完全に枯れた瘤だと中身が空になっていたり、幼虫も死んでいたりと、条件の整ったものは多くは見つからない。
今回初めての試みで、ポイントも探り探りであった為、見つけづらいと言うのもありますけどね。
野食材の探索で最初から上手く行く事はそうそう無いので、根気良くやって行きましょう。
生木の瘤の中が圧倒的にコロニーが多い一方、枯木でも当たりの瘤はあるので軽視は出来ないです。
当たりの瘤だと1瘤で10匹近く採れます。いかに当たりを多く引き当てるかと言う効率重視の採集活動です。
今回行ったポイントがたまたまそうだっただけかもしれませんが、葛の木の周りにイバラが生えているところが非常に多く、瘤に辿り着く為に文字通りイバラの道を掻き分けて行く場面が多数ありました。
痛いです。耐えられない程ではないにせよ本当に痛い。肌の露出しているところに刺さるとかなり痛い。
何が悲しくて、関東から片道7時間¥7,500かけて三重県の河原にまで来て、イバラの道を掻き分けているのか。人は何故、そこまでしてフェモを採らねばならないのか。
五里霧中、七転八倒、孤軍奮闘、暗中模索、明鏡止水、生者必滅、疑心暗鬼、暗夜行路、朝令暮改、漱石枕流、大器晩成...数々の故事成語が脳内を駆け巡るフェモラータ狩りは、否が応でも己の内面と向き合わせる内省的な作業である事が分かりました。なんて知的な虫なのか。
そうやって自己洞察を繰り返しながら漸く見つけた葛の幹はかなり硬く、用意した金切鋏でも切断にかなり力を要しました。次回から小型の鋸も必須です。
このイバラ掻き分け→幹の切断でかなり疲弊しました。話し相手がいなかったら気が紛れず、本当に修行的要素の強い採集だった事でしょう。
今回は2つの河川の中流域〜下流域を探索しましたが、中流寄りの方が葛の群生地が多い印象でした。下流域だと河原が広過ぎて逆に探しづらい。
この辺りまだサンプルが少ないので、回数を重ねる毎に索敵精度が増して来ることでしょう。
男2人で、4時間でご飯茶碗一杯弱程度のフェモを確保。
これ絶対、採ったフェモよりもフェモを採る為に失ったカロリーの方が大きいと思います。
フェモはご存知の通り特定外来種には指定されてはいないですが、生息地を拡大させない為にも、現地で確実に息の根を止めましょう。
うねうねうねうねうねうねうねうね
うーん。可愛い!触り心地はフニフニしているし、見れば見る程愛着が湧いて殺しづらくなるので、一思いにやってしまいましょう。
水洗いした後、沸騰したお湯に投下し、再沸騰してからさらに2〜3分程茹でます。虫なので念入りに火を通します。
河原で大の男が2人で虫を茹でる絵と言うのは鬼気迫るものがあるなぁ...。
などと思いながらも、これ以外に方法が無いので構わずやって行きます。
幸い通行人は1人も通りませんでした。
さて!茹でたてを早速味見しましょう。
そんなフェモラータオオモモブトハムシと言えば!合わせるお飲み物、こちらでやって行きたいと思います!
せーのっ!
でんっ!
\銀色のヤツっ!/
(ノンアル)
うめえっ✨✨
採れたては杏仁豆腐の香りは皆無。どちらかと言うと濃厚なコーンの味と香り🌽🌽🌽
虫類の中ではかなり旨い部類に入ります。いわゆる虫臭さも全く無し。皮がやや舌に触りますが、個性の範囲で片付けられる程度。
サラダとか、チャーハン、ピラフに入れたら合うんじゃないですかね。
しかしこれ、本当に杏仁香が出て来るのかね?
半信半疑のままジップロックして持ち帰り、丸々3日間冷蔵。
4日目の朝食べてみたところ、突如として杏仁香が鼻に突き抜けて来ました。
なんで?
なんで?なんで?なんで?
前日まで無かったのに??
噂通り確かに杏仁豆腐。紛れも無く杏仁豆腐。あまりにも不思議。
取り敢えずその状態のまま冷凍し、状態を保存。
時は流れて4月6(土)
東京でとって食べる生活のトモくん主催の野肉会に解凍して持ち込ませて頂きました。
フェモをどう言う風に調理すれば良いのか一通り思考を逡巡させた後、これはもう、杏仁香をそのまま活かすのが吉と結論付けました。
結果、沢◯靖子氏ばりに、友だち集めてRITZパーティーを開催🎉🎉
靖子さん!RITZに虫が乗っているわ!
これがCMだったら放送事故レベルで虫嫌いな人が鬼電クレーム入れそうな絵面ですが、当方虫大好きなのでなんの問題もありません。
クリームチーズ入りの方が写真映えしますが、入れない方がフェモの杏仁香が活かせると言う学びがありました。
出来れば1RITZ-4フェモ以上乗せた方がフェモの杏仁香が活きると思います。
付け合わせにミントとハチミツを加えたのは正解でした。甘味と香りがブーストされてよりデザート感が出ます。
しかし、世の中上には上がいます。我々とは別の日に松阪に採集に行って、同じくフェモを持ち込んだDDJ@ふく氏はさらにひと手間加え、フェモラータオオモモブトハムシを牛乳プリンに仕立てると言う、ウィットに富んだ逸品を繰り出して来ました。
フェモをすり潰してエキスを混ぜ、牛乳とゼラチンで固めたとの事です。
もうこれが杏仁豆腐!まんま杏仁豆腐!
言われなきゃ騙されるレベルの、紛う事無き杏仁豆腐でした。
虫嫌いで杏仁豆腐好きの人が知らず知らずのうちに口にして真実を知ったら脳血管ブチ切れ噴飯ものでしょうね。世の中には知らない方が幸せな事も多々あります。
このような形で、初めての フェモラータ狩り×調理 は期待通りの結果となりました。食味の良さと、独特な杏仁香から非常にポテンシャルを感じる素材です。
ただ、個人的には採れたて茹でたてコーン味の方が好きですね。皮も柔らかくて食べ易い。
時間が経ったり、解凍させると皮が舌の上でゴワつくのは多少やむなしと言う感じではあります。
調達コストが尋常じゃなくかかる素材ですが、この時期にこの場所でないと採れない希少さから、来年もヤル気と元気があれば採りに行きたいと思います。
本来はその土地にいてはいけない生物なので、あまり採れてしまうのも宜しくない話なのですけどね。
採りに行くヤル気と元気があれば...
今回はデザート路線で攻めましたが、来季は採れたてのコーン味をご飯のおかずor酒のツマミとして活かす路線を探って行きたいです。炊き込みフェモご飯とかどうでしょうよ?
そう、採りに行くヤル気と元気さえあれば...
それが一番大事🐛🐛🐛