山と酒と音と飯

登った山と飲んだお酒と聴いた音楽と食べたメシについての備忘録

カミツキガメのレバーはデカいスッポン味だった

昨年に続き、「東京でとって食べる生活」

のトモ君に誘われ、カミツキガメ釣りに行って来ました。

 

フェモラータオオモモブトハムシ同様、その食味の良さから野食家達の心を捉えて離さないカミツキガメ

 

印旛沼水系で異常繁殖し、その生息数は2019年時点で16,000匹とも言われ、毎年行政が駆除活動に力を入れています。

 

カミツキガメ捕獲作戦スタート 印旛沼周辺に1万6000匹

(2019年駆除開始のニュース)

 

ミドリガメよりも大きくなる事もあり、獰猛さと雑食性から生態系を脅かす存在として危惧されている一方、夜行性で人目につく事が少なく、此処まで生息数が増加してしまったものと思われます。

 

と言う事で、今年の行政の駆除作戦が始まる少し前、4/27(土)〜28(日)でカミツキガメ釣りに行って参りました。

 

昨年の経験から、流れの強い本流より、流れが緩く、水温が高い支流や水路の方に生息している率が高いと言う学びを得ている為、今年は対象を支流に絞っての捕獲に臨みました。

 

捕獲編

午前11:30、レンタサイクルを借りて捕獲エリアの調査を開始🚲

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ここから3時間、印旛沼エリアを隈なく探索し、捕獲ポイントに当たりを付けて行きます。

 

 

 

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(Neko Nihiki)

 

沼から流れ出た河川域一帯を調査。

この日は夕方から強い雨に見舞われました。気温が下がり、雨曝しでは危険と判断し、一時屋内に避難。

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日没前後に雨が上がり、再び行動開始。

再度場所の設定に検討を重ねます。

 

今回の私の仕掛けは6号ナイロンにサルカンとイシダイワイヤー+太刀魚針と言う組み合わせ。ウツボ釣りとほぼ同じです。

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餌は鯖の塩漬け。水分を抜いて餌持ちを良くしてあります。

これで流れの緩い所を狙って行きます。

 

日没後、二手に分かれて竿をセットし、1〜2時間に一度、仕掛けの確認を行います。

我々のチームは1〜2つの支流に絞り、その支流を徹底的に釣る作戦で臨みました。

 

開始から3時間、トモ君チームから早くも釣れたとの報告が入り、メンバー全員に衝撃が走りました。

 

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なかなかの大きさ。

これだけのサイズの亀が人目につく事なく棲息しているのだから驚きです。

水温が低い為、昨年以上に亀の動きが鈍い印象を受けました。まだ活性が上がっていない様子。

 

その後、見回りを続ける中で、我々の仕掛けにも異変が。

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ワイヤーがグズグズに齧られている仕掛けと、ワイヤーと針の間のサルカン部分を噛みちぎられて逃げられた仕掛けがそれぞれ見つかりました。

 

いる...!此処には確実にいる...!

 

縦からの噛み合わせに弱い、針と繋げたサルカン部分を噛みちぎられるとは。これは想定外でした。ウツボとは違いますね。

 

急いでワイヤーを交換し、再度同じ場所に仕掛けを投入したものの翌朝まで当たりは一切無く終わりました。

 

結局、釣果は4人で夜通し粘ってトモ君チームの1匹だけに留まりました。

4月末では水温と外気温がまだ低く、活性が低かったのが、要員として考えられます。

 

また私のチームの仕掛けたエリアは、流れは緩いものの、カミツキガメが姿を隠すには水深が浅過ぎました。体高を考えると水深は50〜60㎝くらいあった方が良いのかもしれません。

それでいてカメが地上に攀じ登り易い様、川岸の傾斜がなだらかで草に覆われている事、水温が高い事等が条件に上がって来るのでしょう。

 

加えて仕掛けの作り方も極めて肝要。来季挑戦するとしたらワイヤーと太刀魚針は止めて、もう少し小振りのイシダイ針にPE10号、ナイロン20号と言った、とにかく硬くて頑強な糸を直付けして、サルカン部分との距離を離して臨むべきだと思いました。

 

さて、印旛沼を離れる前に止め刺しに移りましょう!

カミツキガメはご存知の通り特定外来種である為、生体の持ち運びが禁止されています。釣り上げたら、そのエリアを離れる際に速やかに止め刺しを行います。

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今回は活性が低かった為、暴れられる事なく処理できました。
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関節部分の切り離しは金切鋏を使用。ウツボの頚椎切断やカミツキガメの止め刺し等、ゴッツイ獲物に対しての汎用性が高いので金切鋏は捕獲現場ではマストアイテムですね✂️

いつも通り、切断されてなお頭も胴体も元気に動き回ります。クーラーボックスに封印。

 

帰り際、土手にイタドリとノビルとハルジオンが生えていたのでお土産用に摘んで帰ります。

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この周辺のイタドリは誰も摘んでいないらしく、凄まじい伸び具合でした。

 

調理編

その後はトモ君のお家まで行き、今回の釣果に全く貢献していない私も、カミツキガメを頂ける運びとなりました。ありがてえありがてえ( つ᷄.̯σ̣̥᷅ )

 

首切断から7時間経過してなお、動きます。すんごく動きます。

 

「良いか。お前は7時間前、確かに死んだ。頼む、静かに眠ってくれ。この世をさ迷って何になる...」

 

己の死に気付かずに足掻いている姿を眺めると「夢」の中隊長的なアンニュイな気持ちになって来ます。

 

が、気にせずどんどん捌きましょう。

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テレサ君が3000回ぐらい引っかかれながら解体。

雑菌、寄生虫のリスクを無くす為に使用器具の煮沸消毒等は欠かさず行いましょう。

 

さて実食!昨日の索敵開始から既に27時間が経過しています。腹減りました。

 

肉は唐揚げ、内臓は素茹での状態で頂きます。

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肉っ!!旨ーーーっっ!!!

くどく無い脂っ気とコラーゲンで超ジューシー!且つジャキジャキとした亀肉独特の歯触り!

 

いつも自分でスッポンを買って捌く時、勿体無くてだいたい全部鍋にしてしまうので、唐揚げで亀を食べるのは初めてでした。この食べ方は旨い。DPZの記事で平坂さんがスッポンの唐揚げを推されていましたが、実に納得です。量が取れたら是非ともやりたい。

 

続いて素茹でした内臓㌠を頂きます。

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左上から右回りで肺、レバー、キンカン、脂肪、不明。

 

先ずはレバーから。

清潔な水で育てられた養殖のスッポンと違い、泥沼で育ったカミツキガメを泥抜きせずに持ち帰って来たので若干(超絶)不安が漂います。

 

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って、旨い!!!!!!!

 

臭みなし!!!

 

全くなし!!!

 

スッポンのレバーと変わらぬ濃厚な旨味が広がります。

亀のレバーって、牛や豚とくらべるとレバーの香りが弱いんですよ。口に入れた瞬間は「アレッ?」っと、一瞬物足りなく感じるかもしれないけれども、その直後に牛豚レバーの数倍濃ゆい旨味がドッと押し寄せて来るんです。

レバーの中では1番好きかもしれない。レバー史に残る逸品ですよこれは。

スッポンだと、レバーが小さ過ぎて貴重なのですが、カミツキガメはサイズも大きいので沢山楽しめます。

 

 

もー!超旨い!旨いよ!旨い!(語彙力)

 

続いてキンカン。亀の卵はどんな菌がついてるか分からないので念入りに火を通しましょう。

 

って、キンカン旨ーーっ!!

 

亀卵特有のザラついた舌触りですが、このサイズのキンカンなら気にせず食べられますね。

 

何より卵黄の旨味が濃い。鶏卵の数倍濃い。使いどころが難しいですが、取り敢えずこの素茹では旨い!

 

肺はあまり味は無く。フニフニっとした食感を楽しみます。ねぎポン要員。

 

脂肪も臭みなくコッテリとした亀脂肪の旨味を楽しめました。

 

いや、カミツキガメ凄いですよ。凄い。全身旨味の塊の上に、スッポンよりも歩留まりが良い。

 

その凶暴性から、食べられる事が今まで無かったのかもしれませんが、甲羅の頑強さと凶暴性だけ持って、身肉に毒性を持たせなかったのは、種の保存におけるカミツキガメの進化の怠慢と言わざるを得ません。

この程度の捕獲リスクならば、迷わず捕まえる種族が今此処に現れてしまった訳ですから。

 

 

しかし、このカミツキガメの内臓、個体によっては

「臭くてとても食べられそうになかった。」

と言う情報もある為、これが個体差によるものなのか、処理方法の違いによるものなのかは今の所は判別出来ておりません。

カミツキガメに関してはほぼ同じ水域・水質で育っている筈なので、そこまで成育環境によっての差異は無いはず。

今後も捕まえてサンプルを集める必要がありますね。

 

手間の割に獲れる率が低いので、決して効率の良い捕獲対象ではないけれど、歩留まりの良さと食味の良さから今後も狙って行きたい獲物である事を今回確信しました。

 

来年もまた活性の上がって来る時期に捕獲を狙いたいと思います。

 

次回こそは、必ずや自力で🐢🐢🐢