山と酒と音と飯

登った山と飲んだお酒と聴いた音楽と食べたメシについての備忘録

ビストロ山2019に参加して来ました〜都市河川における鯉釣り考

雨続きの夏が過ぎ、うっすらと秋の装いが濃くなって来た今日この頃いかがお過ごしでしょうか。

 

三連休で予定されていた朝霧JAMも中止となり、無事に予定は全て無くなり、ひたすらディスカバリーチャンネルとFFタクティクスの往復と言う充実した連休を過ごした私です。

 

 

ビストロ山2019

10月5(土)に今年も、採集・捕獲・調理・全参加型のエクストリームイベント「ビストロ山」が開催されました。

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こちら、年に1回相模原の山奥で開催され、今年で4回目を迎えます。

野草、昆虫、キノコ、それぞれのエキスパートである講師陣の監督のもと、食材を捕まえる所から処理、調理まで全て現場でやってしまうと言う、超現場型イベントなのです。

 

開会前から、早々に蜂の巣から蛹の取り出し作業が行われていました。

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虫苦手な方が見たらこれだけで卒倒するんぢゃないかと言う絵面ですが、気にしない。

丸々と太った旨そうな前蛹ですね。

 

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講師陣の挨拶の後、諸注意が言い渡され、食材探しに出発。

 

私は調理スタッフとして入っている為、食材の仕込みの為に留守番。

今回、相模川産の落ち鮎と局地的に泥臭いと圧倒的知名度を誇るアメ横地下産の鯉2匹を使って、鯉・鮎こくを仕込みました。

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こちらの鮎、釣れたその日のうちに冷凍させていたので鮮度の面は問題なし。

しかし、相模川の苔を食べている鮎の内臓は、そのまま相模川の水底の香りがするので今回は除去しました。

 

鯉も、通常鯉こくを作る時は鱗も内臓も頭も使うのですが、臭いに定評のあるアメ横地下産である為、それらの部位は全て綺麗に取り除いてあります。

 

その上で、1度茹でこぼした後、昆布出汁と共に、日本酒とネギ頭、生姜と一緒に2時間ほどじっくりとアクを取りながら煮詰めた次第。

 

最後30分のところでイチョウ切りにした人参、大根、ささがきゴボウを投入。仕上げに赤味噌で味付けをして完成。

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流石にここまでやると、臭みは一切無く、地味ながら味わい深い出汁がしっかりと汁に滲み出ていました。

 

現地採集したものも含めた、他のパワー系料理が一通り出た後の〆として大分好評頂けました。ありがてえありがてえ。

 

他の料理も一部ご紹介。

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同じく調理スタッフとして入ったゆーきシェフはホットプレートを持参し、まさかのクレープを現場で仕上げると言う所業に打って出ました。

隠し味にカメムシを使って青リンゴフレイヴァーを、テッペンにコガネムシをあしらって彩りよく仕上がっています。コガネムシがナッツのような食感を加えてくれて、技有りな逸品に仕上がっていました。

外骨格がクランチ感あるのですが、後味に少し虫感が出ます(笑)

クレープに虫が!虫が入っているわ((((°д°))))!

 

 

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同じく調理スタッフとして入っていた中華シェフの方は、朝獲れのジョロウグモを湯通しした後、シュウマイに仕立て上げると言うプロの仕事をされていました。ジョロウグモの豆感がシュウマイにマッチして、流石はプロの仕事と舌を巻きました。凄い。蜘蛛嫌いの人が蜘蛛を克服する為の料理としての最適解かもしれません🕷

 

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こちらは色合いと言い、チリのパンチの効いた味わいと言い、東南アジアの国に行ったら普通に飲食店で出てきそうな完成度でした。こう言うのを食べると虫食の可能性を感じますね。

 

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当日獲れたコオロギの素焼き。もう、まんま素焼き。鉄板で焼いただけ。素材の味わいを活かすと言う言葉以外何も見つからない。

これが存外旨かったです。イナゴやバッタより殻が薄くて中は肉厚なので食味が良く、何も付けなくても軽く塩味を感じます。

昆虫食講師の内山先生曰く、

「1〜2日糞出しした方が本当は良い」

との事ですが、良く火を通せば、問題無く食べられるとの事。実際、問題無く食べられたので良しとしましょう。災害時等にかなり有用な食料となり得る知見を得ました。

 

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この日採れたキノコ㌠。食菌でないものも混ざっている為、丁寧に判別して行きました。今回は食菌は少な目だったとの事。

 

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こちらは昆虫食チームの持ち込みによる、サクラケムシ(モンクロシャチホコ)の糞で作った糞ゼリー。念願叶って初めて食べる事が出来ました。これが真っ当に桜味の美味しいゼリー。和菓子の様な味わい。色合いも鮮やか。虫嫌いな人が後で原材料を知らされたら噴飯ものでしょう。糞だけに。

 

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こちらはスズメガ系の幼虫でしょうかね。なかなかのサイズ感。昆虫食研究家のコイケ氏が見事に串焼きに仕立て上げていました。食べなかった為、味わいの程は不明。

 

 

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これを・・・


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こうして・・・


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こうぢゃ!

 

当日、会場近辺ではヤマカガシ、ヒバカリなどの蛇が3匹捕獲され、参加者の手で解体され無事にバーベーキュー食材となりました。

毒さえ気を付ければ、捌くのはそんなに難しくはなさそうですね。

 

 

上記の料理はほんの一部で、他にも沢山の食材を使用した料理が並んでいました。

 

こちらのビストロ山、年に1度の開催で、開催場所は藤野駅から車で20分の所にあるイベントスペース、廃材エコヴィレッジゆるゆるにて行われています。

今回初めて参加されたから、

「扉が開いた」

と言う感想を頂き、スタッフ冥利に尽きました。

イベント開催は主にフェイスブックのイベントページで告知されますので、参加希望の方はフェイスブックで「ビストロ山」で検索してみてください。

 

野食未経験の方々の参加を心よりお待ち申し上げます。

 

 

鯉釣り編

さて、今回私が用意した鯉・鮎こく、なぜ鯉を天然物でなく購入したものを使ったのかと疑問に持たれた方もいらっしゃるかもしれません。

 

それには止むに止まれぬ事情があったので、その辺りを書き記して行こうと思います。

 

時はビストロ山より遡ること1週間前の9/28(土)、29(日)。ビストロ山の為に鯉を調達すべく、都内の河川を2〜3箇所ほどハシゴしていました。

 

水質の良い河川を大前提として、ネットで出て来る情報を丹念に精査し、臨んだポイント数箇所。

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↑例えばここは、川幅が広過ぎるのに加え、流れも思いのほか速く、全く鯉の姿を捉える事が出来ませんでした。広過ぎる河川だと鯉は釣れないと言う学びを得ました。

1日目は此処で日没を迎え、時間切れとなり終了。

 

 

2日目、昨日の反省を踏まえ、対象を本流ではなく、支流にすらならないような水路サイズの河川に絞り込み、且つ周辺の地形から湧水量が多く、水質の良さそうな河川に狙いをつけました。

たかが鯉、されど鯉。釣ろうと思うとなかなか釣れないものです。

 

そして辿り着いた河川はモロに住宅街の中を走る水路。しかし周囲の地形から湧水が多く、都市河川にしては水質がかなり良く、魚影は濃かったです。

 

橋の上から川を眺めると、流れが緩くなっている所に丸々と太った鯉が群を為して泳いでいるではないですか!

 

これですよ!これ!私が求めていたのは! 

 

しかし元々釣りをする用に解放されている川では無いので、川岸にアプローチ出来るポイントがほぼ無い。

加えて残暑厳しいこの時期は、藪が生い茂っていて、そもそも川岸まで入れないと言う弊害も発生。とは言え、この河川については、ネットや周辺の立て看板等で入念に確認した結果、川岸に入ってはいけないと言うルールも無ければ、釣りも禁止されていなかったことを先に確認済みです。

 

川沿いに10分ほど下ると、川岸に入る事ができ、他にも釣り客のいるポイントを発見。

 

今回用意した仕掛けは、コイ鈎12号。ハリスに3号ナイロンが付いています。

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エサはファミマ謹製食パン。
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ウキも一応持って行きましたが、必要性を感じなかったので途中から外しました。
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鯉のパワーに負けないよう、竿はいつもウツボの時に使っている、とにかく硬くて強い船竿を用意。

 

1日目の釣り場では流れが速過ぎてウンともスンとも言わなかったですが、2日目の釣り場はこれで秒速で反応がありました。

 

結局の所、鯉釣りは既に鯉が見えているポイントに撒き餌して、鯉を寄せておいて、そこに鈎を巧く流せれば勝ちと言う事が良く分かりました。可能な限り見ながら釣ります。

 

2日目のポイントでは、パンを千切って撒いた途端に数匹がバシャバシャと寄って来ました。そこにハリス3号ナイロン+コイ鈎12号に食パンを付けて流した所、すぐさま掛かってくれました。テクニックもなにもあったもんぢゃないです。

 

2日間の努力が報われる...

 

 

と思ったのも束の間。

 

ブチンっ!!

 

っと勢い良くハリスが切られ、鈎ごと持って行かれてしまいました。

 

3号では弱過ぎたか!おのーれ!おのーれ!

 

同じ仕掛けで再戦を挑み、またしてもすぐさま掛かったものの、またしてもハリスを切られ、同じ結果に。

 

糸が弱過ぎるんかなー?と考えていたところ、ツイッターでべーやん先生から、

「多分延べ竿用のハリスなんだと思います。竿が硬過ぎるのでは?」

と、的確過ぎる指示を頂きました。

 

 

(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー!! (`・д´・ ;)

 

 

そうか、竿は硬ければ良いってものでもない訳か。確かに延べ竿なら良くしなるから、3号ナイロンでも切られないのかもしれない...

 

とまぁ、とにかく釣り経験の浅い私はまた一つ学びを得た次第で御座います。

 

しかし感心した所で鯉が釣れるわけでもなく、今ある装備で何とかせねばならないのです。

 

次に考えたのはハリスを強くする事。其処で手持ちの装備品の中からワイヤーとタチウオ鈎を取り出してパンを括り付けて挑んでみる事に。

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結果は惨敗。鈎が大き過ぎて鯉が吸い込んでくれず、エサだけ持って行かれる事に。そんな事をやっている間に鯉がすっかりスレてしまい、四方に散って行ってしまいました。

 

仕方ないのでポイントを変え再挑戦。

この川、最初に挑んだエリアは釣りオーケーな雰囲気満載で、釣り客も数名いた上に、川にも容易に入れたにも関わらず、そこから15分上流に移動しただけで川岸への入口が一切開放されておらず、「釣りダメ、ゼッタイ」な空気が漂いまくっているのは何故なのでしょう。

しかし当然にして河川への立入禁止の看板も無ければ、ネットで調べても漁業権に抵触もしていない為、川岸になんとか入り込み、釣り開始。

 

あからさまにメーター近いサイズの鯉が数匹、釣ってくれと言わんばかりに泳いでいます。

 

という事で3度目の正直。これまでの反省を踏まえ、仕掛けは6号ナイロンのラインに先ほど使った12号コイ鈎を直に結ぶと言う荒技に打って出ます。

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本来このサイズの鈎に6号ナイロンを結ぶ事などある訳もないので、半ば強引に結びました。本来もっと糸を捻らなければならないのでしょうが、2〜3回捻りが限界でした。外れないよう願うしかありません。ウキもオモリも一切無し。世界で一番シンプルな仕掛けです。

 

ファミマ謹製食パンを千切って投げた瞬間、鯉が寄りに寄って来ました。1匹1匹がデカイので迫力があります。

 

そこに上流からパンをつけた仕掛けを流した瞬間...

 

 

キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!

 

 

掛かったーーーー!!!!!

 

 

 

音速で掛かったーーーーー!!!!!

 

 

もっと警戒しなさい!!!!!

 

 

人を疑いなさい!!!!!

 

 

鯉!!!!!!!

 

 

しかも今度はハリスが切れません!!!!

 

 

さすが6号!!!!

 

 

懸念された鈎外れも無く、そのまま強烈なファイトが始まります。

 

 

開始から5分。鯉も観念したのかズルズルと引き摺られるように浅瀬へと上がって来ました。そこをすかさずタモ網でキャッチ。

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デカ過ぎてタモ網が全く網としての機能を果たしていません。今度はお金ケチらずにもっとデカくて良い網を買おうと心に誓いました。

 

いやーこれでビストロ山で鯉こくを出すには充分な量の鯉を確保出来た。良かった良かったʢֿ•͡ٮ•̅ʡ♪

 

なんて鼻歌交じりで、そのまま現場で血抜きまでやってしまおうかなんて考えていた矢先、ふと気配を感じ、視線を上げてみると...

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(イメージ)

 

そうなんです。ここは都市河川。周りはモロに住宅街。巨大な鯉がバッシャバッシャと暴れ回って音を立てるものですから、散歩途中のじっさま、ばっさま、果ては自転車で通行途中だった初老男性までもが足を止め、私が鯉と格闘している姿を橋の上から注視していたのです。

だもんですから、please please meなんて、こんな微笑みかけるような生易しい視線ではなかったですね。

 

 

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(イメージ)

どちらかと言うとRUBBER SOULにもっと圧力を持たせた様な視線で注視されていました。

 

 

・・・

 

 

 

・・・・

 

 

 

あれー(・w・)?

 

 

 

なんかこれ、鯉持って帰っちゃいけない様な雰囲気漂ってません?

 

 

 

釣っても大丈夫な川なんだけどなー?

 

 

 

想定以上の近隣住民からの視線に焦り、戸惑い、日和った私は、已む無くリリースをしてしまった次第なのでした。

 

 

 

そうです。私は世間に負けたのです_(┐「ε:)_

 

 

後々冷静になって考えてみれば、無理して〆ずに丸ごと持って帰って処理すれば良かったと思うのですよね。

 

これも後々茸本氏から聞いて知ったのですが、濡れた新聞紙で包めば、鯉は活かしたまま持ち帰れると言う話らしく、それをやれば良かったと激しく後悔しました。

 

 

とは言え、あの現場にいたら、最初は焦りますよ...

だってだって、じっさま、ばっさま、みんなRUBBER SOULのジャケットなんだもん...

ジョンとジョージが生きていたら、あれぐらいの年齢だったろうな...

 

なんなんだろう、あの「鯉」は釣っちゃ行けない感...

 

持って帰るのなんて言語道断感...

 

ウナギやクロマグロと違って、在来種のノゴイ以外の鯉なんて恐らく絶滅から最も縁遠い種であるはずなのに...

 

しかも増え過ぎると他の水棲生物が育たなくなるから、多少間引きした方が環境にも良いぐらいなはずなのに...

 

 

水質もそこそこ良くて鯉のサイズも良くて、良いポイントだったんですよ...

 

 

と言う事で、2日間に渡る都市河川鯉釣り単独行は無事(無事ではなく)終わりを告げました。

 

結果的に釣果無しに終わった私はと言えば、そのままアメ横地下に向かい、良い感じのサイズの鯉2匹を購入し、ビストロ山に持って行った次第なのです。

 

はい。課金しました。課金勢です。

 

アメ横地下の鯉2匹で3,000円ぐらいと、思っていたよりも安かったのは良かったのですが、泥臭いと言う前評判を聞いていた為、今回は念入りに下処理をしました。

 

まず買ったその場で頭と内臓とウロコを落としてもらいました。(とは言え割と内臓とウロコは残っていたのでその辺はアメ横クオリティでご愛嬌)

 

その後、自宅で残っていた内臓とウロコを念入りに取り除いた後、水気を良く拭き取り、キッチンペーパーに包んで半日冷蔵庫で放置。

 

その後、塩を少々入れた日本酒に丸一日漬け込んだ後、そのまま冷凍保存。

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その後はビストロ山編で記した通りに、一度茹でこぼした後、2時間かけて香味野菜と丁寧に煮込みました。

 

結果泥臭さは殆ど感じなかったので、まぁまぁ成功したのではないかと思います。とは言え、頭も内臓も使ってないので本当の鯉こくと比べるとパワーダウンは避けられないですが。

 

しかし今回、都市河川の鯉釣り単独行をやってみた事で大分ポイントが分かって来たので次回に活かそうと思います。

 

・水の綺麗そうなエリアを丹念に探す

 

・夏場は川岸が藪過ぎて釣れる場所がとても少ない

 

・夏場は藪蚊が多過ぎて釣ってる間かなりのストレス

 

・ハリスは6号ナイロン

 

・鈎がデカ過ぎても釣れない

 

・世間の目に負けない

 

↑この辺りを注意して行けば都市河川でもある程度快適に鯉釣りを楽しめるのではないかと思えます。何より1番大切なものは、くじけぬこころであると言う学びを得ました📚

 

そんなわけで、次回は藪が枯れ、蚊も飛ばなくなるであろう11月以降に再チャレンジをするかもしれません。

 

冬場になったら近隣住民が減る河川とかあるかな。

 

無いよな_(:3 」∠)_