山と酒と音と飯

登った山と飲んだお酒と聴いた音楽と食べたメシについての備忘録

うん、このカレー

最近めっきり更新の頻度が下がっていて誠に申し訳なく感じていると同時に、皆々様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

私はと言えば、ご時世的なものもありますが、なかなか遠出や飲み歩きが出来ずに歯がゆい思いをしております。

 

皆さんは歯がゆいですか?

 

4月1日限定ジョークビール

今年もやって参りました。4月1日。

4月1日と言えば、ツイッターのタイムライン上では大喜利合戦が繰り広げられ、便乗した企業アカウントか嘘のような嘘を言うことに食傷気味になっておられるツイッタラーの方々も多いと聞き齧っております。

 

みんな、もっと自分に正直に生きて良いんだよ?

 

そのようなおり、冗談みたいに大真面目に本当の事をやりきる企業があるのをご存知でいらっしゃいますでしょうか?

そうです。我が地元、神奈川が世界に誇るビールメーカー、サンクトガーレンです!

 

このサンクトガーレン、湘南ゴールドやチョコレートスタウトなど、数々の飛び道具的なビールを排出する事でも有名なブルワリーなのですが、その極め付けとも言って良いのが、毎年4月1日限定でリリースする冗談みたいな本当のビール、「ジョークビール」シリーズなのです。

 

↓参考までに過去5年間のラインナップがこちら

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左から、世界一苦いお茶を使ったIPA、生グソ(生グレープフルーツソフトクリーム)味、肉球味、オオグソクムシ入り、ドリアンIPAと、毎年クセの強過ぎる強烈なビールを世に放って来ているのです。

 

しかも悔しい事に、これがどれもまた旨いのです。飛び道具に目が行きがちな当社ですが、その醸造技術は極めて高く、スダンダードなレギュラーラインの旨さは日本屈指のレヴェル。

 

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私が人生ベストビールを挙げたとすると、トップ3には必ずや当社のゴールデンエールが入って来る事は間違い無いでしょう。

 

そして満を辞してやって来た2021年4月1日。毎年、日付が変わる時刻にツイッターに張り付き、発表を待ちます。

 

 

キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!

 

うん、このブレンド黒!!!どう考えてもやりすぎだろ。このビール...!

 

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しかも4種類の動物の糞から取り出したコーヒー豆とか....

 

コスパ度外視し過ぎ....

 

最高....

 

慌てて注文をした際、ビールだけでなくコーヒーのセットもあった事を見落とし、さらに追加で注文した結果、届きました。 

 

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コーヒー1本とビール10本。

いや、流石に頼み過ぎましたね。飲むけど。

 

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まずは試しに一杯やってみましょう。

 

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・・💩・・

 

 

・・・・💩・・・・・

 

 

・・・・・・・💩・・・・・・

 

 

いや、これ旨過ぎやせんか?!

うんこから取り出したとか、そう言う色眼鏡抜きにして(でもうんこから取り出したんだけど)、純粋にスタウトとしてのステージが激烈に高い....!

 

コーヒー自体の味が非常に上質であるところに加え、スタウトの味が薄過ぎず、濃過ぎずの、正に “ちょうどいい” 塩梅を突いて来ているのです。

 

コーヒーの香りも非常に良いアクセントになっており、もう1杯飲みたい、また飲みたいと思えるような、非常に良いバランス感に仕上がっています。

 

さすがサンクトガーレン。またしてもしてやられた....この6年間のジョークビールでは1番好きかもしれない....

 

ちなみこのジョークビール、毎年サンクトガーレンの正規取扱店舗では4月1日〜2日限定で樽生が飲めます。

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樽生ですと、より味の輪郭が明瞭で旨かった事は言うまでもありません。

 

来年も期待しています。

 

しかし10本も買ってしまったので、そのまま飲むだけでは面白みに欠けるな〜( ´◔ ‸◔`)

 

何か上手い手が無いものか....

 

 

 

あ(・∀・)💡

 

 

 

 

料理に使おう!!

 

 

以前にピルスナーで鯉のビール煮を作った経験もあるのだから、黒ビールも煮込み料理に合わせられるはず!

 

せっかくだから今回はカレーに合わせてみましょう!それに近いレシピもあったので。

 

今回参考にさせて頂いたレシピはこちらの本から↓

世界一やさしいスパイスカレー教室 -スパイスカレーのしくみがよくわかる-
 

 カレーのスペシャリスト、水野仁輔氏が監修したこの書籍にはスパイスと食材の相性や、スパイスを混ぜる手順等、カレーの基礎となる部分が非常に分かり易く纏められていて、非常に勉強になります。

 

今回のカレーは、こちらの本のギネスビーフカレーをもとに作っております。詳しい内容については、読んでお試しくださいませ。

 

さて、料理の方針は決まった。メイン素材は牛肉でも良いんだけども、もう一捻り面白そうな食材がないかな....

 

そうだ!牛すじを使おう!

 

牛すじはおでん、カレーや牛すじ炒め等、割と目にする機会は多いのですが、実際に取り扱う機会の少ない食材の代表格出ないでしょうか。

 

あの店なら良い牛すじが売られているに違いない。

 

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そう、上野肉店です。こちらのお店は知る人ぞ知る名店で、以前にモツ鍋を作った回でもお世話になりました。

 

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とにかく新鮮な内臓類を安く提供してくれているので大分助かっています。

 

和牛の牛すじは¥157 / 100g。牛すじの市場が良くわからないけれど、和牛でこれなら恐らく少し安い部類になるはず。

 

さて、役者は揃った!あとはやるのみ!

 

調理編

先ずは牛すじの下処理から。超鮮度の牛すじでしたが、冷蔵庫にそのまま残置したら血の臭いが結構出て来たので、この部位もやはり正肉ではなく、内臓と同じように速やかに且つ繊細に取り扱う必要がある部位だと実感しました。

 

先ずはサッ!と洗って表面の血を洗い流し、たっぷりのお湯で一度茹でこぼします。

 

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結構な量のアクが出て来るので、臆する事なく沸騰後1〜2分そのまま茹で続け

 

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ザルにあけてお湯を切り

 

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ネギの青いところと、スライスしたショウガ、日本酒を入れて再度水から茹でましょう。

 

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再度沸騰したら蓋を閉め、圧力をかけます。

今回は丸々1時間圧力をかけました。

 

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暴かれた世界。お箸では掴めないぐらいにトゥルントゥルンになりました。こちらは茹で汁ごと取っておきます。

 

さて、此処からいよいよカレーの調理に入ります。

 

先ずは飴色玉ねぎを作ってしまいましょう。此処はいつも通りの手順なのでサラッと行きます。 

 

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油を引いた強火のフライパンに粗微塵切りの玉ねぎを入れて塩をかけ、このまま5分放置。焦げるのを恐れずに放置する勇気が問われます。

 

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5分後の世界。此処から目安1分半ごとに水を入れて焦げ付かないように多少掻き混ぜて

 

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10分後の世界。

この作り方も他ならぬ水野式でございます。水野氏のノウハウはカレー作りの時に本当にだいぶ助かっています。

 

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別の鍋を用意して、いつも通り、規定分量より遥かに多い油を投入。なんだかんだ上品に仕上がるので、カレーを作る時にはオリーブオイルを使うことが多いです。 

 

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今回のホールスパイス㌠。

ブラックペッパー、コリアンダーシード、レッドチリ、元のレシピには無いけれど、家に大量に余っていた為、クローブも少々投入。

 

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テンパリングの後、油跳ね防止の為に一瞬火を止めておろしニンニク、おろしショウガ、飴色玉ねぎを投入。

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ホールトマトを入れて、水分が無くなるまで炒めた後、パウダースパイスを入れて、さらに水分を飛ばしながら炒めます。

パウダースパイスは上野で購入した、調合済みのものを使用。中身はターメリックコリアンダー、クミン、フェネグリーク、フェンネル、陳皮、唐辛子、シナモン等。

 

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これぐらいまでカレーロードが出来上がったら及第点。

 

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牛すじを茹で汁ごと投入。ローリエも投入。

 

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此処でついに今回の真打ち「うん、このブレンド黒」を丸々1本投入。

 

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本来のレシピだとフォンド・ヴォーを入れるのですが、流石に我が家にそんな洒落たものは無いのでコンソメキューブで代用。

 

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さらにトマトジュース少々。

 

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何やら泡立っていて不安になります。

 

此処からは30〜40分ほど中火で煮込んで水分を減らします。

 

塩で味を整えて、元のレシピだとこれで完成なのですが、かなりレシピをいじってしまっている為、ビールの苦味が思いのほか前に出過ぎている事と、牛すじの茹で汁の脂が強くて少ししつこさを感じるのと、全体的に味の焦点が定まっていない感じになっている為、此処から先は調整に入ります。

 

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濃口醤油を入れて塩味と旨味を足します。仕上げに少し入れることでカレーの味にジワッと深みが出るので、私の場合はインドカレーだろうとイギリスカレーだろうと醤油を入れます。

 

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味の輪郭をしっかりとさせる為にタマリンドペーストを小さじ2杯分、水に溶かして投入。

今回4〜5人前を想定して作っていますが、それでも小さじ2杯で充分に酸味が出るので、タマリンドペーストは取り扱い要注意ですね。

そして、仕上げに少量入れると途端に味が締まるので超優秀です。

 

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最後の最後にテンパリングオイル代わりにバターを入れてさらにオイル感を増します。

 

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完成!!

 

さて、実食へと参りましょう。

 

 

 

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・・・・・・・💩・・・・・・

 

 

 

おおおおおおおお!!!!

 

 

う━ま━い━ぞ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!

 

オリーブオイル×牛すじ×バターでかなりオイル感が強い筈なのですが、仕上げに加えたタマリンドの酸味のおかげでバランスが取れ、脂のしつこさが抑えられつつもコクとなって見事に調和が図れています!

 

「うん、このブレンド黒」の苦味が邪魔にならない程度に個性として加わっており、コンソメキューブ、ホールトマト等の功績もあって、そこはかとなくビーフシチューも感じさせる上品な仕上がりになりました。

 

これは、私のカレー人生において新境地に到達出来た味わいです。

 

冷たちくんにも食べてもらったところ、

 

 

好評を頂けたので多分美味しかったのだと思われます。

普段やるなら、こんなに貴重なビールを使わずともギネスやマーフィーズで充分に美味しく仕上がると思いますので、また機会あれば作ってみたいと思います。

 

健康を気にされる方の場合は、最初のオリーブオイルは大さじ2〜3杯くらいで止めておいてた方が良いです。牛すじとバターで自ずと脂っこくなるので。

 

しかし作っておいて言うのもアレですが、動物の糞から取り出した豆のエキスを抽出した後、さらにそれに近い色の料理に仕立てて経口摂取してまた己の体内から放り出す行為に及んだ事で、喰う事と出す事は生命活動において本質的に表裏一体なのだなぁと、妙に力強い納得感を得るに至りました( •́ .̫ •̀ ( ⊃*⊂ )

 

また来年もサンクトガーレンがどんな仕掛けでファンを驚かせてくれるのか、今から楽しみですね。

 

今後も新たなカレー作りに挑んで行きたいと思います🍛

 

それではまたʕ•̫͡•ʔ三ʕ•̫͡•ʔ シュッシュッ