真冬の潮干狩り単独行から野食新年会2019に行って来ました
年明け早々、私のタイムラインに衝撃が走りました。
や、やつが...!
1年間に及ぶ全国行脚を終えて、やつが東京に帰って来る...!!
茸本氏凱旋っ!!ついに来たかっ!!食材調達に行かねゔぁ!!
旬のウツボをみんなに腹一杯食べさせたるんや...
骨の一切無い腹身の上等な所を皮ごと炙って食べさせたるんや...
チコタンよりも堅い決意で、しかも手遅れになる前に...
そうと決まったら話は早いです。亜光速でエントリーし、
私:「あのな!あのな!うちな!みんなに寒ウツボ腹一杯ようさん食べさせたいんや!」
茸本氏:「...ええでっ!」
とウザいぐらいに暑苦しいエントリーをし、野食新年会2019への持ち込み枠参加が決まりました。
エントリーしたからには釣らねばなりますまい。彼らを。
ウツボ捕獲の失敗
先ずは1月13日、神奈川県内某港へと赴きました。
此処は前回釣り上げた所とはまた別の港。現在、ウツボ資源の持続的な利用のためにも、新規UP(ウツボポイント)を開拓中なのです。
初めてのポイントなので攻め方も分からない為、取り敢えずいつも通りイシダイ用ワイヤーにイワシのぶつ切りを括り付けて港内中央へと仕掛けを投下。
やり始めてから小1時間で
キターーーーーー(°∀°)ーーーーーー!!
U・T(su)・B(o)!
U・T(su)・B(o)!
72〜75㎝ぐらいでやや小振りですが、紛れも無くウツボ!
この港は居ますね。まだ攻め方が分からないですが、今後も継続して通う事にします。
その後、アタリが無くなったため、午後はいつもの某港へと移動。
此処は相変わらず魚影が濃いです。何度もアタるのですが、合わせが上手くいかず、バラすこと数回。
その後、時間も押し迫ったラストチャンスで。
つ、釣れ...?!
イスーーーーー?!
ウツボが海底に投げ捨てられたイスに絡まり、イスごと釣れそうになったこの直後、糸が切れて海中へと沈んで行きました。
もう知らない!
イスなんか嫌い!
二度と座らない!
これからはオフィスでもバランスボールしか座らない!
故に、皆さんのオフィスで頑なにバランスボールを使っている猛者がいたとしたら、西湘でウツボを釣ろうとしてイスに糸を切られた方達なのだろうとお察し下さい。結構辛い思いをしてるんですよ。彼らも。
という事で、70㎝台のやや小振りな1匹しか釣れずに終わりました。
このウツボは試作した所で全て消費してしまい、野食会向けウツボメニューは無事にお蔵入りとなった次第です。
皮目を炙ってネギポン酢で拵えた腹身のタタキは、脂が乗りまくっていて大変美味しゅうございました。
クミンパウダーと唐揚げ粉で揚げた下半身は、骨切りを念入りに行ったものの、まだ骨が強烈に舌に障ったので、今後の課題とします。
下半身の有効な使い方を、どなたか教えて頂きたく思います。
他にもやりたいメニューがあったのですが、手に入らなかったのでしょうがない。
真夜中のシオフキ採集
野食会までの残り時間からするに、確実に獲れる食材を集めるしかなさそうです。
こんな事もあろうかと、野食会エントリーの際に、茸本さんには事前に
私:「あのな、あのな、うちな、ウツボ獲れへんかったら、シオフキ出そうと思ってんねんて...」
茸本氏:「...ええでっ!」
と許可を頂いていた為、シオフキの採集へと舵を切る事にしました。
ちなみに上記の私と茸本さんの遣り取りはほぼ100%脚色されています。ご了承下さい。
さて!時は1月19日の土曜日!
この日も朝マヅメでウツボを狙ったものの、空振りで終わり、昼過ぎに慌てて自宅に一旦帰宅。夜の干潟行の装備に切り替えました。
「冬でも潮干狩りって出来るの?」
と、疑問に持たれた方もいらっしゃると思いますのでお答え致します。
出来ます。
ただ、冬場は干潮の時刻が夜間〜深夜帯になる上に水温も気温も低い為、進んでやる人は少ないと言うのが実際の所です。後はヤル気の問題です。
この日の東京湾の干潮時刻は22:10。
イケる...っ!!
上手く行けば終電にも間に合うっ...!!
Just do it.
誰もが最初は無名のファンに過ぎなかった...!
✔️
20:40に最寄駅に着弾。
此処から徒歩で干潟を目指します。急ぎで歩いても30分はかかる距離。
余りに寒いのと心細いのとで、写真を殆ど撮っていなかったのですが、21:10頃に干潟に到着。採集を始めます。
シオフキは非常に殻が薄く脆いので、熊手を使って掘るとあっという間に殻を破って殺してしまいます。
その為、真冬の夜中の干潟を素手で掘ると言う、正気とは程遠い所業に及ぶ事となります。
ポイントに到着すると、夏頃よりもサイズの良いシオフキが次々と地面から出て来ました。
此処は本当に良いシオフキポイントです。誰も採らないですけれども。
採集している間に、気温も海水温も下がって行き、手が限界を迎えた為、1.5時間ほど掘り進めて採集を終了しました。
ざっと3kg〜ぐらい。狙い通りの釣果です。これだけあれば2品ぐらい作れるでしょう。
急いで靴を履き替え、終電もギリギリ間に合ったー!サクセスー!
と余裕をぶっこいていたら、案の定疲れからか、黒塗りの高級車に追突する事なく、寝落ちして終電を乗り過ごしました。
シオフキの下処理と調理
翌朝、自宅へと戻り、シオフキの砂抜きと調理へと取り掛かります。
以前にも記事に書いたとおり、シオフキはアサリ等ほかの貝と比べて砂を吐き出し辛い上に、掘り出してから弱るのが早い為、出来るだけ速やかに処理を行わねばなりません。
急いでバケツにあけて真水で洗います。
特に海水に浸したりせずにそのまま持ち帰りましたが、割と元気そうです。
そこそこなサイズのアサリも数個混ざっていました。文字通り、江戸前のアサリ。
真水で2〜3度良く洗ったら酒と水を張った鍋に入れて温めます。
煮立って貝が開いたら、茹で汁は替えずに貝だけ取り出して水に浸けます。
入りきらなかったシオフキを同じ茹で汁で温め、貝が開いたら同じ様に取り出して水に浸します。
これを繰り返す事で、シオフキの旨味成分が茹で汁に蓄積され、アサリ並みの旨味を持ったダシ汁が完成するのです。
オキシジミも混ざっていました。
後はひたすら貝殻から身を取り外す作業。此処が工程の中で一番怠いです。
↑の量の貝殻から取れた身は、実質この程度です↓
シオフキはアサリ等と違って、貝殻が大きくなっても中身は大きくなり辛いという事が分かりました。
これを身だけにした所で、水の中で勢い良く反時計回りに掻き混ぜ、身の中の砂を強制的に外に出します。少しザルの底面に押し付けるぐらい強めでやった方が良いでしょう。
これを4〜5回繰り返し、水の中に砂が混ざらなくなったら下処理の完了です。
今回の量で、1人でやってだいたい3時間ぐらいかかりました。
この手間が、シオフキが絶妙に人気の出ない所以だと思われます。味は悪くなくとも、下処理がアサリの数倍時間がかかります。
茹でた鍋底にもかなりの砂が溜まりますが、身をかき混ぜたボウルにも結構な量の砂が溜まるので、これらの工程は必須である事がお分かり頂けると思います。
茹で汁は4ℓほど確保。シオフキは上記の工程を行う為、身に旨味がほぼ残らないので、このダシ汁を如何に確保して使うかが、美味しく食べる肝です。
野食会に出したシオフキ料理は、このダシ汁にさらに昆布ダシを足して、旨味をブーストさせております。
シオフキ調理編
さて!さてさてさて!
此処までやって、漸く調理へと取りかかれます。いつもながら、長い戦いでした。前回9月に書いた記事でも取り扱っているレシピなので省略して書きますが、今回のシオフキメニューは、お馴染みスンドゥブチゲと深川飯でございます。
先ずはスンドゥブチゲから。今回は7〜8人前ぐらいを想定して作っています。
唐辛子は韓国産を用意。日本のものより甘く、まろみがあります。
おぼろ豆腐4丁。
シオフキの身を、全体量の半分使用。
胡麻油で炒めた牛肉600gとシオフキのダシ汁2ℓを合わせて煮込めば出来上がりです。
味付けは塩胡椒と醤油です。
これが簡単で、且つシオフキ料理としては暫定で1番旨いです。濃厚に取ったシオフキのダシがアサリと同等以上に感じられます。仕上げに青ネギと半熟卵を入れてお召し上がりください。
続いてもう一品。干し香茸などと言う、エクストリーム過ぎる高級品を頂いていた為、
これを一晩かけてシオフキのダシ汁で戻します。
それ以外の手順は、いつもの深川飯と同じです。
鍋に油抜きした油揚げ、長ネギ、シオフキ、味噌、みりん、砂糖、シオフキのダシ汁を入れて汁気が無くなるまで煮詰め
出来上がったものを、醤油、塩を入れてシオフキのダシ汁で炊いたご飯の蒸らしの段階で投入し、余熱で10分間再加熱したら出来上がり。
三つ葉を仕上げに散らします。
今回は4合炊きました。
元々何をやったって旨い深川飯に、香茸の香りが添加された事でそれはもう不味いわけがない逸品に仕上がりました。
山海の幸をいっぺんに頬張れる贅沢さ。
今年こそは自力で香茸も採りたいです🍄
野食新年会2019本編
そして迎えた1/26(土)
毎回毎回当日の朝に仕込むので、会場到着がギリギリになる野食会ですが、今回は珍しく開会40分前に到着出来ました。人は進歩するものですね。エラい。
私のスンドゥブチゲは自宅からの持ち運びの振動によってシェイクされまくり、およそ食物と思えないケミカル色に成り果てていましたが、味は普通に良かったと思われます。
青ネギ散らして誤魔化してもケミカル色はケミカル色でした。
会場ではバトルフィールドが展開され、次々と野食材をふんだんに使用した料理が並びます。
こちらは鍋ゾーン。
エゾシカのスパイシーハンバーグ。不味い要素が皆無じゃないですか。食べ逃しました。
の、トモくん持ち込みの、自獲りしたアライグマの唐揚げ。アライグマの写真がなんとも気持ちにさせられます。
味は普通に旨かったです。マトンと同じぐらいの感覚で食べられます。
かおさん作の野草のナムル。パワー系の料理が跋扈する中、安心する味でした。
隼丸さん作の野草のチヂミ。クコ、ハマダイコン、ノビル、カラスノエンドウ。どれもクセなく美味しかったです。自作の擬人化イラストも超可愛い☺️
ノビルのチヂミ=ノビチヂミ
アイソさん持ち込みのユムシシリーズ。塩辛は食べ逃しました。食べた人の感想では、「日本酒が音速で消えて行く味」だったそうです。
ユムシのしゃぶしゃぶ。ユムしゃぶ。
これは美味しかったです。良い意味での磯の香りと貝類ならではの弾力と旨味がありました。ユムシ旨い。
今後積極的に狙って行く獲物に認定します。
なまこ酢。酒を...!酒を......!!
アイソさんはクネクネ系にお強いと言う学びがありました。
はるき船長は、自分で釣り上げられたイシダイ㌠を惜しげも無く大放出。
イシダイのしゃぶしゃぶとか、これまた不味い要素が介在する余地は一切無く、ニューロンとシナプスが伝達量のオーバーフローにより音を立てて崩れて行くのを感じました。
さらにそのイシダイのアラを使って
アラ汁など出された日にはこれまた旨味が塊となって味蕾をブッ刺して来たわけです。
すごーい!うまーい!😋
こちらは鹿の脳をボイルして冷凍しておいたもの。鮮度落ちする前に茹でられていたので臭みは無く。
CTスキャンばりにスライスして。
ポン酢をかけて食べたら、獣感の強い白子と言った味わいで、こちらも逸品でした。豚の脳味噌刺しと同じ感覚で違和感無く食べられます。
ginkoさん作のキノコ入りビリヤニ。ビリヤニクイーンのビリヤニはスパイス香バチバチで力強く旨かったです。
ナイスブラウン👏👏
漫画家のこれかわ先生は自分で獲られたアナグマを捌き
炒めて出してくれました。脂が甘くて超絶力強い味わいでした。タヌキやアライグマのようなマトン系の臭いは無かったです。ビールのお供に🍺
会も終盤に差し掛かった頃に満を辞して登場した、てーぼーさん作のアオリイカの焼きそば。完全に満腹中枢がヤラれました。イカと麺の量が同じなんじゃないかと言うぐらいの使用量。
この他にも食べきれてない料理が多過ぎて紹介しきれないのが大変に恐縮ではありますが、数多ある料理の中で個人的に最も暴力的で、私の心のやらかい場所を締め付けて来たものが、
wakiyakuさん作のトリュフバターでした。もうシンプル且つ力強い響きですよね。トリュフバター。
これをヤマモさんのヤマドリタケパンに塗って食べたら、旨味と香味で完全に語彙力が奪われました。
多分、うまーい!うまーい!しか言ってなかったと思います。
恐れ多くなって、こんなに沢山食べて良いのかwakiyakuさんに尋ねたところ
「まだ家に一瓶あるので大丈夫です」
と、力強いお返事を賜りました。
すごーい!すごーい!
後から皆さんの写真や、トモくんのブログ
を読んで、相当に食べていない料理があった事を知りました。
持ち込み枠で作っていて、且つビールばっかり飲んでいると、
ついつい食べるのを忘れます。開場前にフライングして飲んだヱビスマイスターと、超奮発で持ち込んだシメイブルーのグランドリザーヴがとてもとても美味しかったので良しとします。
3ℓ持ち込んだシメイブルーが結構なスピードで無くなったので、皆さんの酒の強さには感服です。
また、私が持ち込ませて頂いたスンドゥブチゲと深川飯も好評を頂けたので作り手冥利に尽きました。
まだ見ぬ食材との遭遇や、既知の食材でも、未知の調理法との邂逅など、参加のたびに発見があるので、野食会は実に面白い催しだと思っております。私も初参加の2年前から時を経て、持ち込み枠で参加出来るようになりました。
興味のある方は、最初は手ぶら枠で良いので是非ともご参加頂けたらと思います。主催の茸本さんを始め、スタッフをやって下さっているあやさん等、皆さんのご尽力あって毎度楽しく参加をさせて頂いております。
今年はコンスタントに東京会もやって行かれるそうなので、また機会あれば参加したいと思っている次第です。
既に、次回に持ち込みたい食材と調理法の青写真は私の脳裏に浮かんでいますので。
最後に、茸本さんのサインと横山先生のオリジナルの都田さんのイラスト入りの「僕は君を太らせたい!」の単行本を頂く事が出来たので、大変に有り難い会でした。
“都田さんに、隙は無い”
“残心”
次巻も楽しみにしております。
それでまた。