山と酒と音と飯

登った山と飲んだお酒と聴いた音楽と食べたメシについての備忘録

福岡野食会2019夏に参加して来ました〜採集・調理編

半年前から予定していた、今週の金土日の北穂高岳奥穂高岳テント泊縦走の予定が荒天で中止となり、夏季休暇の予定が全て吹っ飛んだ中、皆々様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか?

 

夏休みを「無」として過ごしている私です🕳

 

それはさておき、8/17(土)に福岡県の小倉で開催された「福岡野食会2019夏」に参加をして参りました。その時の事について書き綴ろうと思います。

 

 

食材調達編

今回の持ち込み食材は、旬の食材であるセミの幼虫にする事に。捕獲難易度は低めでありながら7月末〜8月末の1ヶ月間を逃すと手に入らず、市場流通もしない故にタイミング勝負の食材です。7月の下旬から採集を開始。

 

7/21(日)神奈川県某所

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毎年捕獲をしているポイント。梅雨明け直前でまだ気温が上がりきっていないせいか、アブラゼミの幼虫1匹とニイニイゼミの幼虫数匹しか見つけられない結果に。全てリリース。

 

7/28(日)自宅の市内

市内で1番大きい雑木林を散策するもセミの気配無し。梅雨明けが遅かったからか、今年はセミの発生が遅め。

代わりにカブトムシとクワガタを良く見かけました。

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ミミズを虎視眈々と狙うヒキガエルくん☺️

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8/4(日)神奈川県某所

7/21に攻めたポイントを再訪問。羽化の盛りも盛り。真っ盛り。大発生。18:00〜20:00の間で40〜50匹程度確保。このエリアの採れ高は安定して高いです。

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1つの木で一気に5匹採れる事も。
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ノコギリクワガタがゲスト参戦。カッコいい。比較的都市部の雑木林でも、いるところにはいます。

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8/8(木)〜8/9(金)自宅付近。

2日連続で業務後に自宅最寄りの雑木林へ突撃。仕事着の会社員が頭にヘッドライト付けてビジネスバッグにセミの幼虫を黙々としまう姿は冷静に考えずともホラーですね。2日間で30〜40匹を確保。

到着時刻が少し遅かった為か、羽化真っ盛り。

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今回採集したエリアでは圧倒的にアブラゼミが多かったです。時々ミンミンゼミが混ざります。

温暖化とは言えクマゼミは流石にまだ北上して来てはいない様子。

 

これらの幼虫は帰宅後、直ぐにそのままジップロックに入れて冷凍保存。長期保存させるなら茹でてからの方が良いけれど、2週間弱なら直に冷凍保存でも問題ないでしょう。

あまり長いこと保存するとより殻が舌に障るようになるので、基本的には出来るだけ早く食べた方が良いです。

 

 

本番編

そして迎えた本番当日。06:16東京駅発の新幹線になんとか滑り込み、小倉を目指します。

普段旅行など行かない身なので、九州初上陸がまさか野食会になろうとは、10年前の自分からしたら想像もつかなかったでしょう。

 

さてさて。列車内やる事ないからね、そりゃぁもう飲むしかないよね!ねねね!

早朝06:30から始めさせて頂きます。列車旅の特権です(`・ω・´)クワッ!

今回の列車内のお供は、常陸野ネストラガー、NEW BELGIUMのJUICY HAZE IPA

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FIRE STONE WALKERのUNIONJACK IPA

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志賀高原のSNOW MONKEY IPA

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の計4本。

 

各ビールの寸評をして行きましょうか。 

常陸野ネスト ラガーから

こちらは見かけた事ある人は多いはず。

今やローソンやスーパーに置かれるぐらいにメジャーになりました。常陸野ネストは元々日本酒を造っている茨城県のブルワリー。重厚な香りと苦味に定評があります。

コップに注いで炭酸を飛ばしてから飲むと苦味より濃厚な甘味の余韻が立って来る逸品。

 

コロラド州のブルワリーNEW BELGIUMのJUICY HAZE IPA。同行者からの頂きものです。ありがたし。

日本では同ブルワリーのFAT TIREは良く流通しているのでイオンリカー等で見かけた方も多いはず。

ニューベルジャン ファットタイヤ アンバーエール 355ml*

ニューベルジャン ファットタイヤ アンバーエール 355ml*

 

HAZYは今回初めて飲みました。このブルワリーは西海岸系のブルワリーの中では苦味よりも旨味に重きを置いたビール造りに定評があります。

このHAZYも実に苦味を抑えたスッキリとした酸味のある味わい。とは言えアルコール度数7.5%なのでクイクイ飲んでるとアカンやつです。危険が危ない。

 

 

FIRE STONE WALKERのフラッグシップモデルと言うべきUNION JACK IPA

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こちらもイオンリカーには常駐している傾向が強いです。

カリフォルニアのブルワリーでありながらUNION JACKと命名されたそれは、同ブルワリーの創始者がイギリス出身である事と共に、イギリスのIPAスタイルを意識した気品溢れる仕上がりに。重厚な苦味を感じさせながらも後口は比較的甘め。お値段高めであるものの、その価値は充分にあります。数あるIPAの中でもとても好きな1杯。

 

 

志賀高原のSNOW MONKEY IPA

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これまた同行者からの頂きもの。ありがたし。

フジロックフェスティバル2019の為に限定醸造された志賀高原のHAZY IPA。国内のブルワリーの中でも際立って苦味に重きを置く同ブルワリーにしては、かなり苦味を抑えた飲み口の柔らかい仕上がりに。それでいて志賀高原ならではのフレイヴァーは後口にしっかりと残ります。貴重!

 

 

そんな感じでうだうだ飲みながら4.5時間、新幹線はついに小倉に到着🚅

初めての九州上陸に、ナメられないようバッキバキに険のある視線を周りに撒き散らし、不良中学生の修学旅行さながらの気合でホームに降り立ちました。

 

会場は小倉駅から徒歩3分の所にあるKITCHEN Qさん。

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駅から近くて大変に助かります。ありがてえありがてえ。

ホームページを拝見したところ、U-zhaan氏がライヴをしたらしいではないですか!ステキ!

U-zhaan氏と言えば2016年に環ROY氏、鎮座DOPENESS氏と共演したサマージャム'95 / スチャダラパー のカヴァーも記憶に新しいタブラ奏者です。

このカヴァーは原曲にも増して肩の力が良い意味で抜けていて完成度が高いですね。MVも緩くて実に良い感じです。

 

店内にDJ設備もあるなど、小倉の音楽シーンも盛り上げるナイスダイニングバーなのでした👏👏

 

そんなKitchen Qに少し早く着いてしまい、取り敢えず開場前に開栓。

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小倉1本目は私が宇宙で1番好きなビール、サンクトガーレンのゴールデンエール。

軽やかな飲み口でありながら、余韻でブワッ!!と広がるモルト感のバランスが究極的に冴えてる逸品。旨い。旨過ぎる。もう一本飲みたいです。グラスは自前の志賀高原製。

 

今回は、我らが地元・神奈川エリアの実力を知って頂きたい思い、どちらも厚木にある名ブルワリー、サンクトガーレンと厚木ビールのビール各種を抜かりなく持ち込みました。

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YOKOHAMA XPAは丹沢山系の伏流水を使用して製造。旨味や苦味にメーターを振りがちなクラフトビール界隈において、サンクトガーレンは薄めの味わいに定評があるブルワリー。他のブルワリーが足し算による味わいを重視しているとするならば、サンクトガーレンは言わば引き算の美学を持つ稀有なブルワリーです。このYOKOHAMA XPAはIPAスタイルを取りながらも極めて薄味に仕上げた逸品。それでいて味気ないなんて事はないそのバランス感覚がセンスの塊なのです。悔しい!が、旨い!

 

厚木ビールは製造量の少なさから、ブルワリー直買いかメールオーダーしか出来ないマイクロに近いブルワリーなのですが、その旨さは折紙付き。個人的にはサンクトガーレン常陸野ネスト、ヤッホーブルーイング、志賀高原と言った国内の強豪ブルワリーと比べてもなんら引けを取らないクオリティだと思っています。

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中でも丹沢のしずくは大傑作。ラガースタイルでありながら、その濃厚な甘味はビールの苦味が苦手な方にも合わせられるのではないか思えます。かなり旨味メーターが振り切れたラガービール。当日現地で飲めなかった方は、通販でなんとか上手く手に入れてくださいまし。

 

ビールを飲んでいたら開場の時刻までに料理が間に合わない事が確定したので、慌てて仕込みに入ります。

今回は昨年の夏に開発した、セミの幼虫と紅生姜のかき揚げ天を提供します。

 

作り方は至って簡単。まずはセミの幼虫をめんつゆで下ゆでします。うどんつゆ程度の濃さに水で薄めためんつゆが沸騰したところに、凍ったままのセミ幼虫を入れ、再沸騰してから3分ほど茹でます。

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セミ70匹が茹でられる阿鼻叫喚図となりました。

3分後、めんつゆをザルで切って水分を良く取り除きます。

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その間に紅生姜の漬け汁もよく切っておきましょう。

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今回は長ネギも刻んで入れました。

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手前の茶色いのはニオウシメジ。試作の段階ではニオウシメジも入れてみたものの、ニオウシメジの味が活きなかったので、それぞれ別に揚げた方が良いです。

 

そして此処からが昨年からの変更点。水気を切ったそれぞれの具材を混ぜ合わせた後、溶いた天ぷら粉の中には入れず、片栗粉で打ち粉します。

次にオタマに必要量を取り、やや濃い目に溶いた天ぷら粉を具材の上に回しかけます。

その後、170〜180℃に熱した油に入れ、30秒ほど放置。

具材が固まった所で鍋底から剥がして浮かします。

後は両面を数分ずつじっくりと揚げて紅生姜の水分を飛ばし、油を切ったら出来上がり!

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この揚げ方でやると天ぷら粉の使用量が少なくて済むので、歯触り良く仕上がります。

 

かき揚げは、本当は形が固まりきる前に中心に菜箸で窪みを作った方が良いとか、鍋のヘリで円形に形を整えた方が良いとか、色々とコツはあるのですが、いかんせんセミの幼虫1匹1匹がデカく、やろうとすると型崩れする可能性があった為、今回はその辺は省略。

 

セミかき揚げに群がる猛者達の俯瞰図

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味わいとしては、セミの幼虫単体で揚げた時よりも殻の歯触りが気にならなくなると共に、紅生姜の酸味・香味によってセミの豆感が引き立てられて味わいが飛躍的に向上したと思います。

お褒めの言葉も頂戴し、ありがたい限りです☺️

 

今後セミ料理のスタンダードとしてオ◯ンジページに載る事を目標とします📖

 

他の参加者の方々の料理の一部をご紹介。

太刀魚の生ハム・コンフィ

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太刀魚の水分が適度に抜かれて生の時よりも、旨味が劇的に増していました。盛り付けも綺麗で流石だなぁと思いました。

 

炙り〆鯖

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言わずもがな。超旨い。脂乗ってる。相模湾の鯖では出せない旨さ。最高(語彙力)

 

からすみ

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自家製ですかねこちらは。痛風患者にとっては致死量。自分が痛風でなくて良かったと心から思えました。

 

ヤマドリ㌠

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食べ逃しました。不味い訳がない。旨いに決まってますこれは🍄

 

アナゴのスパイス焼き

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食べ逃しました。これまた不味い訳がない。アナゴのスパイス焼きて。なんと言う贅沢。

 

フクロタケなどのパスタ

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食べました。キクラゲとも似て非なる食感。超旨かった!(語彙力)

 

エツの煮付け

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食べ逃しました。有明海水域にしか棲んでいない種なので超貴重。

 

 

こうやって見ると、また色々と食べ逃しているなと思いました。今回の野食会の話題を掻っ攫って行った、クリークで獲れた食材で仕立てた通称「クリーク鍋」の写真も撮らずに終わってしまいましたし。

 

持ち込み枠で料理を作っていると、出来上がるまでは緊張感から料理を口にせず、終わった後は安堵感から座り込んで、ついつい料理を口にしないと言ういつもの流れになりましたね。しかしそれもまた良し。それぞれの野食会の楽しみ方を見出して行きましょうか。

 

当然にして此処に載せられていない趣向を凝らした料理が今回も沢山出て来たので、詳しくはツイッターで #福岡野食会2019夏 のタグを追ってご確認くださいませ。

 

7月 東京、8月 福岡、と立て続けに野食会に参加してやっと終わったと思いきや、9月に三重で野食会が行われる事が発表されましたね。

流石に色々と追いつかないので多分次回は参加を見送る事にはなると思いますが、紀伊半島ならではの食材に一体どんなものがあるのかとても気になります。参加される方は是非とも楽しんで来てつかあさい。

野食会未参加の方で食に興味のある方、きっとおそらく多分絶対perhaps maybe 楽しいはずなのでお気軽にお越し下さい。

 

また私も次に参加をする時までに調理スキルと採集スキルを上げて牙を研いでおきたいと思いますので(°U°)ノシ