山と酒と音と飯

登った山と飲んだお酒と聴いた音楽と食べたメシについての備忘録

年に一度はシオフキ祭

これまでに幾度と無く、水底に棲む貝のようになりたいと思っていた時期がありませんでしたが、一転していま正にそう思っております。

こんばんは。地上の星達こと、私です⭐︎

 

捕獲編

9月の8(土)9(日)が今季最後の昼の大潮の為、干潟に行って参りました。5月にホンビノスを採った例の場所です。

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ホンビノス採ろうかなぁ。どうせ爆湧きだろうしなぁ。

なんて軽い気持ちで行ったのが甘かったです。

まっっっっっっっっったく見つかりません。

5月に来た時は40〜50分で5kg以上採れたと言うのに。

 

そんなおり、月に2回は来ていると言う地元のおぢさんに話しかけられたので聞いたところ、

「手前の浅いところのホンビノスは、あらかた採り尽くされてるから、もっと沖に行かないと採れないね。」

との事でした。

 

外来種なので数が減るのはどちらかと言えば良い事なのですが、まさかホンビノスも乱獲の憂き目に遭っていたとは...!

 

しかし仮に、毎年此処まで採り尽くされているのに5月頃にコンスタントに爆湧きしていたとすると、東京湾一帯に棲息しているホンビノスの数、そしてその繁殖力は想像以上に凄まじいのかもしれません。

 

いかんせん毎年のサンプルがまだ己の手元に無いため、来年も継続してこの干潟に通って、データを集めて行こうと思いますね。

 

ついでにマテガイも試みたところ、稚貝ばかり出て来たので全てリリース。来年以降に期待しましょう。

 

そんなおり、唯一爆湧きの貝がありました。

 

はい。

 

シオフキです。

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これはもちろん在来種なのですが、アサリ等と比べて砂を吐き出し辛く、また水から上げると他の貝と比べて弱り易い等、その扱い辛さから、干潟では見向きもされない雑魚貝の代表格として不動の地位を確立しております。 

 

おまけに貝殻が異常に柔らかく、少しの衝撃で直ぐに割れます。熊手なんかで干潟を掘ったら、あっという間に致命傷を負わせる事になります。

もう雑魚中の雑魚。

 

故にポイントを引き当てると好きなだけ採れます。普段は採りませんが。

 

しかし今回、本命のホンビノスが全く採れなかった為、手ぶらでは帰れないと思い、採れるだけ採って来ました。

 

道具は必要ありません。ひたすら素手で干潟を掘るだけ。それでもかなりの量が採れます。

 

大きくても↓これぐらいのサイズなので、ある程度数を集める必要があります。

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今回集めた量、およそ 3kg×2日間=6kg

2日目に至っては干潮前後の1.5時間程度で1人で3kg集められたので、如何に簡単かお分り頂けるかと思います。

 

そのまま洗濯ネットに入れてお家に持ち帰りました。

 

砂出し編

さて砂出しです。通常の二枚貝のやり方では、貝が浸る程度に海水を入れて暗くして一日放置するのが一般的です。

 

しかし今回のシオフキは生命力が弱いのと、砂を吐き出し辛い事から、お家に持ち帰った後、即下処理に取り掛かりました。

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持ち帰って引き摺り出したところ、洗濯ネットの底面部分に割と砂利と海水が溜まっていた為、持ち帰り中にある程度は砂を吐き出してくれていたのかもしれません。

 

下処理を続けます。他の貝類とやる事は途中までは一緒です。最初に真水で良く貝の表面を洗います。

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一緒に連れて帰って来てしまったオキシジミ㌠も構わず一緒に洗ってやるです。

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洗い終わりの世界。

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弱り易いと聞いていた為、少し心配していましたが、この時点でみんな元気です。安心しました。

割と良く動く動く。

 

 

その後、砂出しをしないままシオフキを酒と水で茹でます。

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少し身が開けばOK。

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水を張ったボウルの上に重ねたザルにあけます。

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此処が下処理で1番の面倒なステップ。殻から身を1つずつ剥いて行きます。

 

剥き終わりの様子。集合体が苦手な方には少しシンドイ写真かもしれませぬ。
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この後が砂出しの最重要ステップ。この水に浸した状態の剥き身を左回りに割と激しく掻き混ぜます。

 

そうする事で体内の砂利が外に出るとの事です。

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やってみると、結構な量の砂利がボウルに溜まる為、効果があるのが分かります。

 

身がグズグズにならない程度にこれを数回、水を替えて砂利が出なくなるまでやりましょう。

 

 

やり終えた後は、茹で汁と剥き身をそれぞれジップロックして冷凍庫へ。茹で汁にも当然にして砂利が混じっているので、濾し取ってからの保存を勧めます。

 

結構な量が取れました。

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↑これの「濃」と書いてあるのは、下茹での際に料理酒の配合を間違えて、塩分濃度が濃くなってしまったものを指します。普通の日本酒でやれば間違えないので、素直に日本酒でやってくだせえ。

その後、昆布出汁で薄めて事なきを得ました。

 

調理編

さて、此処までかなり時間を要しましたが、漸く調理です。

茹でて洗い終わった身自体は、旨味が抜けてあまり美味しさは感じられなかった為、これはダシ汁ごと煮込んだ方が良いはず。

 

ちなみにダシ汁ですが、同じ茹で汁で3回貝を入れ替えて茹でた為に、割と旨味の強い出汁が取れています。

加えて、昆布出汁を混ぜて旨味をブーストさせている事をご了承ください。

 

それではまず一品目。

 

シオフキのダシ汁に醤油、みりん、砂糖、酒少々を入れて煮立たせて

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千切りにした生姜とシオフキの身を入れて汁気が無くなるまで煮詰めます。
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シオフキの佃煮の完成です。

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うむ。これは茶色旨い!ダシ汁の旨味が活きてアサリの佃煮に肉薄する旨さです。これでおにぎり作ったら旨いでしょうね😋

 

 

さて、立て続けに2品目。

 

シオフキのダシ汁にシオフキの身と豆腐を入れて煮立たせて

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醤油で味を整えて

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あさつきを散らせたら、すまし汁の出来上がり。
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うむ!これまた旨い!汁にシオフキの旨味が濃厚に溶け出しています。

 

この調子でどんどん行きましょう。

 

3品目。

土鍋に米とシオフキのダシ汁と醤油と千切り生姜を入れて炊き上げます。

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その間に、味噌、みりん、砂糖を混ぜ合わせて
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ダシ汁を張った鍋にシオフキを入れます。

チクワみたいになっていますが、シオフキの剥き身を凍らせたものです。

デカいジップロックで凍らせたらこうなりました。

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油揚げと長ネギ、先ほどの味噌の調味液を入れ、汁気が無くなるまで煮詰めます。

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↑の煮詰めた具材を、炊き上がった米を蒸らす最後の5分間で米に乗せ、土鍋に再度蓋をして、さらに蒸らします。

 

蒸らし終えたら、シオフキの深川めしの出来上がり。

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お焦げもバッチリ。
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さて実食。

 

 

 

・・・

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

 

うーーーーーーまい!!!

 

 

 

深川めし、うーーーーーーまい!!!

 

 

 

これは醤油味の炊き込みご飯とはまた一味違った出来栄えですねウーーーーーマイ!!!

 

 

三つ葉とお焦げが良い仕事しています。

 

 

これはアサリの完全な代替になり得ます。シオフキ料理の1つの理想型です。

 

 

 

それでは最後の品。

 

牛肉の切り落としに酒と生姜の絞り汁を振りかけて良く揉み込みます。

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刻んだニンニクをごま油でじっくりと炒めて香りを出して
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先ほどの牛肉を投下
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今回、韓国産の唐辛子粉を用意しました。日本のものより甘味があります。
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唐辛子を投入。入れ過ぎると辛くなるので程々に。

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シオフキのダシ汁投入。めっちょ固まっているのは凍らせていたからです。
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アクは丁寧に掬い取ります。
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アクを掬い取った後、スプーンで一口大に切り分けたおぼろ豆腐、シオフキの剥き身を投入。塩・胡椒で味を整えます。
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仕上げに生卵を落として好みのタイミングで火を止めます。今回はミディアムレアぐらい。
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器に盛り付けてアサツキを散らしたら、シオフキのスンドゥブチゲの出来上がりです。

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さて、実食。

 

 

・・・

 

 

 

・・・・

 

 

 

・・・・・

 

 

 

うーーーーーーまい!!😋😋

 

 

 

 

かーーーーーーらい!!🔥🔥

 

 

 

最近メシのレポートの語彙数が少なくて大変に申し訳ないのですが、実際に旨くて辛いので、その辺りはご容赦頂けたらと思います。

 

韓国産の唐辛子の甘さと辛さのバランスは絶妙ですね。

とは言え、これ以上の量を入れたらきっと辛くて飲めなくなるので、水400mlに対して大さじ1杯強ぐらいで適量です。

 

これまたシオフキの出汁が存分に活きていますね。剥き身も味のアクセントになっていて良い感じです。

 

 

と言う事で取り急ぎ、シオフキで煮込み系料理を4品作ってみましたが、いずれもブレずに美味しく仕上がりました。

 

シオフキは煮込めば旨いと言う知見を得られたので、チャウダーやトマトソース煮と言った洋風の料理に仕立ててみてもイケるかと思います。

 

 下処理の手間から敬遠されがちな貝ではありますが、味はなかなか良いので、今後も何も採れない時には持ち帰って来ようと思います。

 

 

見向きもされないような食材が実は美味しかったと言うのは大変に喜ばしい事ですね。今後ともこう言う食材はどんどんフックアップして行きたいと思います。

 

 

それではまた\\(۶•̀ᴗ•́)۶////